ひまりと竜の夏休み。

@waterwaterwat

第1話 ひまりと卵。

「おねぇーちゃんただいまー!」

今日は家に居るであろう姉の麻衣に、ひまりが大きな声をかけると縁側の方から返事が聴こえてきた。

「おかえりぃ~」

麻衣の返事を聴きながら、学校から持って帰ってきた大量の荷物をひまりは玄関にぶちまける。

「今からお風呂していい?」

もう一度ひまりが大きな声で麻衣に声をかけると、もう玄関に来ていた麻衣が呆れた様子で立っていた。

「ひま、また修了式の日に一気に持って帰ってきたの?

危ないから夏休み前にちょっとずつ持って帰りっていつもいってるのに。」

「わかった!次からそうする!だからお風呂していい?」

なぜかしきりにお風呂に入りたがるひまりに、麻衣は不思議に思う。

「まだ父さんと母さん帰ってきてないから2人が帰ってきてからにしたら?

急にどうしたん?」

「あのな!あのな!見て!」

そう言ってひまりは、パンパンのランドセルから何か箱を取り出して麻衣に見せてくる。

「何これおもちゃの箱?中に卵が入ってるみたいやけど…」

「これ入浴剤らしい!それでな!それでな!箱の横見てみて!」

「んー?」

そう言われて素直に見てみる麻衣、すると箱にはこう書かれていた。


ご使用方法

❶箱から竜の卵を取り出します。

❷透明フィルムを剥がし、お湯のはられた浴槽にゆっくりいれます。

❸竜のたまごが発泡しながらしだいに、溶けていきます。

❹竜のたまごがとけていくと、なんと‼︎

中からミニサイズの竜がピョコッと水面に飛び出してきます。


「あ~これ私も小さい頃買ってもらったことあったなぁ、でもこれ誰かが落とした物なんじゃない?あった場所に返してきてあげたら?」

そういって特に珍しといった風でもなくひまりに言う。

「でも、これひろってくださいって書いてあるだんぼーるの中にあったよ?」

そう言ってひまりは、早く卵の中身を知りたくてうきうきしながら足をジタバタさせている。

「まぁ、それならいっか!」っと結構ずぼらな一面もある麻衣は承諾した。

「でもまず!手洗いうがいするように‼︎」

「はーい!やったぁー!!」

そう言ってひまりは洗面所までのろうかをどたどたと走って行った。


麻衣は見落としていたが箱の横の注意事項の欄にはこうも書かれていた。


※この竜は本物です。責任を持って最後まで育ててください。

※竜の性質は浴槽のお湯の状態により変化する可能性がございます。ご注意下さい。



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