第26話 騎士の帰還


女神の血の涙を見た数日後、ニーナと新しい奴隷達を発見した。


ニーナ

黒目黒髪で腰までの長さ。

いつもニコニコしているが目が笑ってない。怖い

頭ひとつぐらい私より高い身長でお胸は大きい。

私のこと(見た目)がしゅきらしい。


「あれ?他の人たちは?」


「あら、エル様おはようございます。こちらは私が選んだ子達です。」


へーそうなんだと顔を見るとみんな死にそうな顔をしているが私の顔をみた途端キラキラした目をし始めた。


「エル様…」「尊い…」


やばい雰囲気を感じる。


「えっと、これあげるから頑張って」

《持ち物》から《R たくさんのお菓子》を上げてさっさと逃げた。


後ろからなにか声が聞こえるが聞きたくない。



逃げきった私は工房へと足を向けた。


「どうー?」


工房に入るとドヴが作業をしており、それをナツメが真剣に見ている。


2人とも夢中で私に気づいてないようなのでこっそりと工房を後にした。


どうしようか考えているとウィルとゾフィとユッテ、ナキリと奴隷が訓練している。



「あれ?ナキリ達もやってるんだ」

そう声をかけるとゾフィが突っ込んでくる。


「どーん!」

ガシッとゾフィを受け止めなでなでする。

「ん!んん!」

頭を出してくるユッテ。

なでなで。

ユッテの後ろにいるナキリ。


ユッテがむふーといいながら訓練に戻るとナキリが前に出てしゃがんだ。


「なに?」


「えっ!?並べば撫でてくれるのでは!?」


そんなルールはない。

しかし、あまりにも悲しそうな顔をするので撫でてあげた。


ニコニコで訓練に戻るナキリ。


ウィルがこちらに来る。


「あいつら、全員お前が理由で頑張ってるぞ」

人気者だなと私の背中を叩くウィル。


「うん、私は幸せもんだ」

そう答えウィルを見るとナイフが首に当てられていた。



「す…すまない…ニーナ」


「謝るのは私にではありませんよ…ウィル…それに、お前…?」


「すまない、エル…」


「よろしい」


「それでは失礼します。エル様」

お辞儀をして去って行くニーナ。


「おま…エルも大変だな」


「いや、ウィル程じゃないよ…」


少し小さく見えるウィルの背中をぽんぽんと叩いた。




それからルージュ商会の教育生を受け入れたりナツメが初めてナイフを作ったり。

ニーナとナキリがタイマンしたり(ニーナの圧勝)スラちゃんがずっと人の姿をするようになったり(めっちゃかわいい)一年ほどたった頃。


サーシャが帰ってきた。



「これまた随分と変わったな…」

変わった町並みを見て感心するサーシャ。


「テンションで作ったんだ、いいでしょ」


「エルは相変わらずだな」

ふふっと笑うエルは大人びていた。


「だが、相変わらずのエルよ」

笑いながら圧をかけてくるサーシャ


「え?」

なんかしたっけ


「お前が作ったこの鎧なぜ魔法を使うと煙がでるんだ?」

アイアンクローをされた。ガントレットが刺さってます。許してください。


「イギぃ…かっこいいからですぅ…」

声を絞り出す。


「そのかっこいいお陰で私は大変肩身の狭い思いをしたぞー?」

ニコニコしながら力をくわえるサーシャ。


「町には入りにくいし、子供からは逃げられる。夜道で冒険者に合えば魔物と間違われ…」

フフフ…と笑いながらも力を緩めない。

そして、急に笑顔になるサーシャ。


「でも、幾度となく私を守ってくれた」


アイアンクローをやめ兜を取ったサーシャは、膝を付き視線を落とす。


「ただいま戻りました。我が主よ」


そう言い終えたサーシャは上を向き、真っ直ぐな瞳をこちらに向けた。



私は、私の好きな瞳を見つめおかえりと返した。


サーシャが帰ってきたことで町がお祭り騒ぎになった。

まぁ騒いでるのは主に私とマオとウィルと獣人の2人だけではあるが…。

ウィルには街に行ってもらって、獣人3人組も連れてきてもらった。


それから、レストランでどんちゃん騒ぎである。


「随分人も増えたんだな」


「そうだよ!料理もいっぱい種類があって美味しいでしょ!」


「そうだ!エルが美味しい料理をたくさん振る舞うからどの街に言っても不味い料理にしか感じなかったんだ!」


「ふふ、もうちょっと経ったらいろんな街で食べれるよ」

ふふんと自慢げに言う。


「そうなのか!それは楽しみだ!」

嬉しそうに笑うサーシャ。


「あ、そうだ。見てみて」

スラちゃんを召喚する。


ぼん。


「これはスライムか…?人の形をしているが…なぜ猫の耳が…獣人の真似をしてるのか?」

ふむむと悩むサーシャ。


「えるーえるー」

声を出すスラちゃん。


よしーよし。


グリグリと胸に顔を埋めるスラちゃん。


「どうだ?可愛いだろう!」

胸を張って自慢する。


「正直ちょっと怖いが……あぁわかったぞ!ゾフィのマネをしてるんだろう!」

私にもよくやっていたと喜ぶサーシャ。


「そう思うと可愛く思えてきたな…むしろ、ゾフィをハグしたくなってきた」

そう言って鎧を脱ぎゾフィへと走っていくサーシャ。



まだ子供っぽいなぁ…


なんだか嬉しくなって私はユッテに突撃した。


あまりにも急に突撃したため、私はビンタを食らったあと威嚇された。



うーん猫っぽい…でも、可愛いんだ。

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