第24話 警備部隊とドワーフ
翌日、私とニーナとナキリは奴隷商館を訪れた。
「スミスさん、お久しぶりです」
「これはこれはエル様。お久しぶりで御座います。」
おじ様のお辞儀は綺麗だ。
「ナキリ達もしっかりと働いていますでしょうか」
「うん、よくやってくれてる…ナキリ以外は…」
チラッとナキリを見るとこちらに気づきニコッと笑顔になった。
その顔は素敵だ。その顔はな…
「フォフォ、ナキリもいいご主人に仕えたようですね」
「はい、ご主人様は素敵です!」
元気よく返事をするナキリ。
その元気は素敵だ。その元気はな…
「今日はどのような要件で?」
「戦える奴隷が欲しいんだ」
と言うとニーナがスッと前に出た。
「今戦えなくても結構です。やる気があって才能があれば良いので全ての奴隷を見せてください」
「そうですか、ではこちらへ」
と奥へと案内するスミス。
「じゃあ、ニーナ私は2人に任せるからこれで払って」
冒険者ギルドに行くねとニーナに袋を渡し奴隷商館を後にした。
なぜ、またニーナがと聞こえたような気がするが気のせいだろう。
冒険者ギルドに行くとルージュとドワーフが話していた。
ドワーフ初めて見るなぁと思いながらルージュが話し終えるのを待つ。
すると、ルージュが私に気づく。
「お、いいところにおるやん」
「え?」
「こいつがエルやで」
私を指差すルージュ。
「私がエルです」
とりあえず言っておく。
「ふーん、こんなお嬢ちゃんがなぁ」
と言いながらジロジロ見てくるドワーフ
「ん?どゆこと?」
ルージュに聞く。
「このドワーフな、エルのこと探してたんや、王都で鍛治してるやつでな、顔見知りや」
「なんで私を?」
ドワーフを見る。
「こりゃ失礼したな、わしの名前はドヴァル・オーリだ。ドヴと呼んでくれ。」
「はぁ、どうも。ドヴさん」
軽く会釈する。
「王都でな、黒騎士と呼ばれる冒険者がいてな。その黒騎士の装備が素晴らしく作成者を聞いたところこの街にいるエルが作ったと聞いて来たんだ。」
「あ、サーシャだそれ」
「ほう、黒騎士はサーシャというのか」
「え?名前聞かなかったの?」
「装備を褒めたら、エルの素晴らしいところを散々聞かされたぞ。好かれてるなエルよ」
ガハハと豪快に笑うドヴ。
サーシャ元気にやってるんだな。会いたくなってきちゃった。
「それでな、弟子入りをしたい」
ドヴが真面目なトーンで私を見る。
「私創造魔法で作ってるから弟子入りしても無駄だよ」
サラッと答える。
「バカっ!そんなことサラッとこんなとこで言うな!アホか!」
ルージュが慌てる。
あ、流れで言っちゃった。
「なるほど、創造魔法か…」
ドヴは口髭を触りながら考える。
「弟子入りは諦める。だが、エルの側に入れはいいもんは見れるだろ?どうだわしを町に連れてってくれんか?これでも腕に自信はある。」
グッと力こぶを見せるドヴ。
私が悩んでいるとルージュが口を出す
「腕ならほんもんやで、ドワーフが来てくれるのもなかなかないしええんちゃう?」
「うーん」
ドヴを見ると真っ直ぐに私の目を見ていた。
その目には弱い。
「わかった!いいよ!」
「よし!そうと決まったら今から行くぞ!」
ガッと私の手を掴み外に出て行こうとするドワーフ。
「まだ、連れがいるから!待って!」
「いや、待たんぞ!」
ギャーギャー繰り返しているとギルドの扉が開きナキリと10人ほどの女性達がいた。
あれニーナは?とナキリの方を見ているとふと横から声がした。
「エル様大丈夫ですか?」
あれ、ニーナがいる。
ニーナを見るとドヴの首にナイフが当てられていた。
「このクソドワーフどうします?」
ニコニコ笑っているニーナ。
目は笑ってない。
「いやいや、町に来てもらう予定だから!」
慌ててやめさせる。
するとニーナはナイフを太ももにあるベルトにしまった。
あっ!エッチなやつだ!と思っているとドヴの耳元で何かを囁いた。
ビクッとしたドヴはコクコクと頷いたあと静かになった。
なにを言ったかは考えないようにしよう。
「エル様…気になります?」
スカートを少したくし上げ太ももを見せるニーナ。
はしたないからやめなさい!
「気になる!」
「まぁ!考えてることと話したいことが逆ですよ!エル様」
うふふと笑うニーナ。
「間違えちゃった」
笑う私……ん!?
深く考えないようにしよ。
「私が助けたかった…」
ぐぬぬと悔しがるナキリと奴隷達、無言のドワーフを連れて冒険者ギルドを後にした。
帰り道にニーナとナキリが私の横に来て話し始める。
「エル様お願いがございます。」
「なにー?」
「少しの間、私とナキリは専用メイドをおやすみしたいのです」
泣きそうになりながら話すニーナ、悔しそうに顔を歪めるナキリ。
「うん、いいよ」
「え?そんな簡単に!?」
ナキリが驚く。
別に専用のメイドいらんし…
「とても、心苦しいのですが私達はこの子達を育てます、一人前のメイドにして見せます。見ていてくださいエル様。きっと必ずやエル様の手足となりましょう。」
うーんなんか重い。
「頑張ってね」
不安だがもう止まらないので適当に応援しておく。
「「はい!」」
元気よく返事をした二人だが全くと言っていいほど不安は解消されなかった
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