第22話 洗濯機と懐かしい顔


鋭い視線が怖くて途中でやめた風呂へと帰る。


「マオー一緒にはいろー」


「ええぞいー」


洗いかけだった体を洗い湯船へと入る。


あーごくらくー


「そういえばマオ最初はシャワーだけだったけどお風呂入るようになったんだね」


「そうじゃのー、面倒だからと入らんかったがお主がいつも入っておってな。気になって入ってみたらよかったのじゃ」


ふーと息を吐くマオ。


「大分、人増えたね」


「そうじゃのう、出会った頃は2人でいつも一緒じゃったな」


「なに?マオちょっとさみしいの?」

肩をつんつんする。


「さっ…さみしないわ!!」


「またまたー、恥ずかしがらなくていいんだよマオちゃん!」


「だまれい!」


「まぁ、私はちょっと寂しいけどねー」


「ふん」


「落ち着いたら2人でサーシャでも会いに行こうか」


「そうじゃの…それも良いかも知れんのう…」


2人で久々にのんびりした気がする。


翌朝、のんびり洗濯しているとパッと思いつく。


洗濯機作ればいいじゃん。


早速創造魔法で蓋付きの箱を作る。

水が回るように風の魔法を付与した底板をつけて完成。

排水の穴も開ける。


ちなみに排水は森の奥へと流れるように作っていて週一回程度膨大な魔力で消滅させてる。

結構臭くてどうにかしたくはある。これから増えるし…。


洗濯機のテストが終わり奴隷達とニーナに説明する。


「これ洗濯機ってモノで水いれると勝手に回るから、洗剤と洗濯物いれて1時間ぐらい放置してれば綺麗になるからよろしくー」


みんな頷いて練習をしている。

一応5台作っておいたので大丈夫だろう。


「すいません、ご主人」

クーコが話しかけてくる。


「なにー?」


「水はどうしたら」


「あ、水かー」


「井戸って適当に掘ったらできるもの?」


「いや、できないと思います」


「だよなぁ…」


「そこら辺掘ったらでますよ」

急に後ろから声がする。

女神だった。


「えー?ほんとー?」

信頼度が低い女神の言うことである、信じられない


「私だって女神ですよ。私を信じなさい」

目を瞑り手を合わせる女神。

絵になるな…頭にスライム乗せてなかったら…。


まぁそこまで言うなら掘るか。

魔力を手に集める。

20mぐらいか?…30mでいいや。


えーい。ドゴォ!!

大きな穴ができる。少し待った後、石を投げる。


ぽちゃん


創造魔法でロープと桶を作り水を確認する。


「いけそう?」

見た目は平気そうである。


女神がジッと見た後指で触った後ペロッと指を舐める



「いけます!」

ビシっと親指を立てた。


「「わーい」」


創造魔法で石の筒を作り穴に埋める。

桶で組むのも大変そうなので井戸ポンプも作っちゃう。


ほんと創造魔法って便利。


そんなこんなでうちにも洗濯機ができたのであった。


昼飯を食べてる時、ルージュが来た。


「おーい、おるかー?ええもん食べてんな!うちにも頂戴!」


「ウチもいるよーウチにも頂戴!」

とジュリも来ていた。


「いいよー、ニーナ持ってきてあげて」

ニーナは勝ち誇った顔でナキリを見て台所へ行くとナキリは悔しそうな目でニーナの背中を睨んだ。

なんの勝負してんねん。逆だろ普通。



「なんかおもろいことなってんな」

ケラケラ笑うルージュ。

お前が連れてきた爆弾のせいだからな。



「ジュリ久しぶり元気だったー?」


ジュリはうちが引き取った獣人達の一人で、サーシャが旅に出た時期にルージュ商会へ就職した。

オレンジ色の髪。緑の瞳でツリ目、スレンダーな体の元気っ子。

頭悪そうな喋り方だが頭が良かった組なので頭はいい。



「そうっすね、飯が美味しくないことを除けばですけど!」


「あーん!久しぶりの我が家のご飯!」


「そんなに食べたいなら帰ってくればいいじゃん」


「捨てられた森なんか通って帰れるわけないっしょ!!」

そうだった。



「あー、んでな。実際教育の方はどうかと思ってな」

ルージュが話を変え今日来た理由を話した。


「うーん、まだ午前中だから私はなんとも言えないかな。マヤ先生はどう?」


「皆さん必死に勉強されてますよー」

「ただ、このままだと教育が終わっているのにわざと残る方もいそうです」

マヤ先生は答える。


「え?なんで?」


「綺麗なお家、お風呂、美味しい食事付きですから…」


「あぁ…それもそうか…」


「私だって我が家のご飯毎日食べたいよ!」

わーんと嘘泣きをするジュリ。


「じゃあ、うちに帰ってくる?」


「うん!帰る!」


「おい、ウチの秘書取んなや」

ルージュが答えた。


「え?秘書なの?ジュリ」


「そだよー、事務の方だけどね。私敬語とか下手だからー。今日はエルに会いに行くから連れてきてもらった」

ニコっと笑うジュリ。

可愛くて思わずガバッとハグをする。


「今日はお家泊まっていきな」


「うん!そーする!」

私の胸に顔を埋めてグリグリするジュリ。

あーかわいいんじゃあ。


「いや、普通に予定あるから帰るで」


「うちの子は返しませんよ!!」

ジュリをギュッとする。


「もう、話進まんからええて!!!」

キレるルージュ。切れルージュ。


「んで、なんやったっけ…?」

ルージュがこめかみを抑えながら答える。


「ルージュ商会に戻りたくないって人が出てきそうって話です」

マヤ先生まとめてくれてありがとう。



「もういっそ個々に支店作ったらー?」

ジュリが呟く。



「「それだ!」」

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