第9話
義父と話をしたその翌日の夜、忠雄から長い言い訳の書かれたメールが来た。千里はてっきり離婚を突きつけられるのかと思ったが、そのメールには謝罪の言葉で溢れていた。
自分のした事を反省している、今付き合っている女性とはすぐに別れる、今後一切近付かない。
要約するとそんなことが書かれていた。
千里はどうするか悩み、一先ず夫に家に帰ってくるようにとメールを打った。
忠雄は家に帰り千里の顔を見るやいなや土下座をしてきた。頭を上げずにずっと謝罪の言葉を繰り返していた。
千里はゆっくりと忠雄へ歩み寄り、床に膝を付くと忠雄を抱きしめた。
「謝らないで……、アタシも悪かったのよ……。ごめんなさい。ねえ、私達やり直しましょう。今からなら……、やり直せるわ。ね?」
忠雄はそれに答えるように千里を力任せに抱きしめると、赤子のように声を上げて泣いた。
千里は忠雄の頭を撫でながら、暗闇の窓に映る自分の顔を見つめた。
これ以上無いほどの笑顔が、千里の顔に張り付いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます