僕と乙女の家族構成
羅
幼馴染
僕の名前は
隣の家は『
僕は道場に通うようになっても、性格はやっぱり相変わらずで、結局いじめられてよく泣いていた。そんな時に、乙女はよく助けてくれたものだ。
助けてくれるといっても、乙女は道場の娘だから喧嘩に強いとかいうワケではなくて、単に勝気な性格なだけだった。そんな性格で、家が道場なんてやっていたら、やっぱり喧嘩も強いんじゃないかと思うかもしれないけど、全然そんな事はなかった。
と言うのも、道場主で祖父でもある、朱鷺
乙女自身も、勝気ではあったけど、アウトドア派ではなく、インドア派で、道場を継ぐ事など、全く考えていなかった。
そんな乙女は小さい頃に初めてパソコンを触って以来、パソコンにすっかりはまってしまい、かなりのPCオタクに育った。小さい頃は
そんな僕と乙女は、幼馴染として育ち、小さい頃守られていた僕はもちろん、乙女も、数少ない親しい人間として、お互いにお互いを意識してはいたものの、特に関係が進展する事もなく、高三となっていた。
「守、今日誕生日だろ?」
そう。その日は僕の十八才の誕生日だった。普段は幼馴染の僕にすら、学校で話しかけてくる事など皆無だったのに、その日は何故か僕に話しかけてきた。それまで誕生日を祝ってもらった事などもなく、僕は怪訝な顔で答えた。
「そ、そうだけど。何、乙女ちゃん?」
僕はその頃、乙女ちゃんの事をちゃん付けで呼んでいた。
すると乙女ちゃんは、無い胸を張り、ニンマリと笑みを浮かべて、フンと鼻から勢い良く息を吐いた。メガネがキラーンと光ったような気がした。
「どうせ祝ってくれる者もいないであろう守に、プレゼントをあげよう。」
「……」
正直、嫌な予感しかしなかった。まあ、祝ってくれる者がいないというのは当たってた。断る理由も見つからず、と言うか、内心好きな子からプレゼントを貰えるというのは、それはやっぱり嬉しいワケで……
学校が終わると、僕は乙女ちゃんの部屋へやって来ていた。しばらくぶりだけど、変わっていなかった。部屋中がパソコンの機材でごった返していた。とても女の子の部屋には見えない。
そのごった返している中に、ゴーグルが二つあった。最近流行り出して、僕も似たような物を見た事があった。メタバースと言われる、仮想空間に入るのに使用する物だ。乙女ちゃんはそのゴーグルを手に取って、一つを僕に渡した。そして乙女ちゃんに言われるままに、メタバースの世界へと僕はログインした。
そこには、浴衣を着て、狐のお面を頭に斜めに付けた、小さい女の子がいた。その女の子が、こっちを見てニッコリと笑った。
「乙女、ちゃん?」
そう。アバターと言うやつだ。
「見た目は気にするな。これは自分のメタバースを創れるソフトの、既存のアバターの一つだ。」
「…って事は、この世界は、そのソフトで乙女ちゃんが創った、メタバースって事?」
「そうだ。」
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