第211話 接待の夜
「ああっ! トバイアス! いいわ!」
ベッドに横たわるトバイアスは何の感情も感じさせない目で、目の前で上下に揺れる白い背中を見つめていた。
昔は美しかったであろう背中には年相応の染みが色濃く浮かび上がっている。
今夜、彼の寝室を訪れたのは40歳を超える中年の女性だった。
いつものようにトバイアスが街で引っかけた娘でもなければ、街角に立つ
彼女はトバイアスの
「お
そう言ってトバイアスは身を起こすと女の背後から手を回し、たっぷりと
そして荒々しく女のうなじに口づけをした。
女が興奮のあまり甲高い声を発する。
いつもなら最高潮のところで相手の女の首を
なぜならこれは
いつものように感情のままに荒ぶるのではなく、相手を喜ばせることにトバイアスは徹する。
甘い言葉と激しい
そして倒れ込むようにトバイアスの胸に顔をつけて、荒い呼吸を整える。
そんな彼女の髪を優しく
「レディー・ミルドレッド。変わらずにお美しい」
「お
レディー・ミルドレッド。
彼女はこの公国の首都で数々の
それだけではない。
表向きは禁止されている薬物などの売買にも手を染め、
ビンガムにはトバイアスの母親ら数人の
そのためトバイアスの母親を
「まさか父親と息子の両方から求められるとは思わなかったわ」
「それだけあなたがお美しいということですよ。父に
「まあ、あなたの御父上は今はもう私を求めることなどないけれど」
「私がおります。レディー。いつでも喜んでお相手を務めさせていただきますよ」
そう言うとトバイアスはゆっくりと、ミルドレッドの肩を
彼女はそれを着て帯を結ぶと、ベッドから降りる。
「さあ。仕事の話をしましょうか。トバイアス」
「ええ。例の彼女はすでにこの都に?」
「もちろん手配通りに。都の
「ご面倒をおかけいたしました。万が一にも都に
そして
ミルドレッドは
「それにしても砂漠島から来た女どもは、逆に
「いえ。以前にダニア分家の女王クローディアが大陸から砂漠島を訪れた際に彼女の部下であるアーシュラという娘が経口薬による対症療法を伝え、それから大陸の人間を定期的に送り込み、すでに砂漠島のほとんどの島民が集団
そう言うとトバイアスはベッド脇に置いた上等な
彼女はそれを受け取ると、グビリと一息に飲み
「準備
「やめましょう。他の女の話など。
そう言うとトバイアスは全裸を
ミルドレッドは自分の太ももに押しつけられるトバイアスのそれの固い感触を感じながら、再び目を細めた。
「もう復活したの? 相変わらずのツワモノね」
「恐れ入ります。夜は長いのですから楽しみましょう」
そう言うとトバイアスは再びミルドレッドをベッドに押し倒し、その夜着の帯を解いていくのだった。
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