その後の桃太郎

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第1章 ドラキュラ退治編

第1話 その後の桃太郎

 鬼ヶ島から2年……。


 桃太郎は18歳になっていた。


「あれから2年か……。お爺さんもお婆さんも亡くなってしまい、俺一人になってしまった。この桃のハッピも『日本一』ののぼり旗も捨ててしまうか……」


 桃太郎は断捨離を始めた。


 桃太郎は剃髪もやめて、着物も筋肉質な胸元をチラリと見せるように着流し、セクシーな侍という雰囲気に変わっていた。


 桃太郎がイメージチェンジのために、断捨離を行っていると、一人の異人が訪ねてきた。


「こんにちは! ここは桃太郎さんのお宅でしょうか?」


「いかにも、俺が桃太郎だが、あんたは誰だ?」


「私はトランシルバニアから来ましたウィリアムと申します。鬼退治で有名な桃太郎さんにお願いがあってきました……」


 桃太郎はウィリアムの表情を見て、何か訳ありであることには気づいた。


 聞けば、ウィリアムの住んでいるトランシルバニアという国では『ドラキュラ』という吸血鬼が暴れまわっていて国は存亡の危機にあるとのこと、そこでウィリアムは鬼退治のエキスパートである桃太郎の噂を聞きつけ、遠く西洋から桃太郎の元へ助けを求めにきたとのことである。


「ウィリアムよ、俺は鬼退治で相当の財を手に入れた。お金には困っていないぞ!」

 桃太郎は鬼退治のあと、鬼たちから巻き上げた財宝で生活には困っていない。


「桃太郎さんは日本昔話の英雄と聞きました。助けていただけないでしょうか?」


「……」


 ウィリアムの必死の頼みもあり、世間のイメージを気にした桃太郎はウィリアムのドラキュラ退治に協力することにした。


「よし、そうなれば仲間だな。ウィリアムよついて来い!」


 桃太郎はウィリアムと共にサルの住む森に訪れた。


「おい、サルよ! ドラキュラ退治の依頼が入った。一緒に来てくれ!」


「桃太郎さんじゃないですか。嫌ですよ、私は今やボスザルですよ。あんたの婆さんのキビ団子に釣られて鬼ヶ島に乗り込んだが、二度とあんなリスクは負いたくない……」


 サルはサングラスをかけて、昼間からハンモックで休んでおり、いかにもセレブというボスにのし上がっていた。


「いいのかサルよ! このまま桃太郎の話が衰退すると、お前のイメージは『サルかに合戦』で馬糞や焼き栗に負けた奴というイメージが広まるぞ!」


「桃太郎さん、行きますよ! だから、そういう脅しは止めてくださいよ!」


 サルは桃太郎以外の昔話ではあまり良いイメージがなかったので、再び名声をあげるため桃太郎に従うことにした。


「さて、あとはキジと犬だな。ウィリアムよ、サクサクいくぞ!」

「あ、は、はい……」


 ウィリアムは桃太郎とサルのやり取りを見ていて、多少不安になりながらもキジと犬を仲間にすべく、桃太郎と一緒にキジや犬が住む森へと向かって行った。



 


 

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