教習番号②交刺点~事故の名所だ、気をつけろ!~




 車に乗ることは便利な反面、危険がいっぱいだ。

 

 例えば、交差点。ここはもっとも事故が多いと言われる場所だ。大学や会社が近いもんだからここは地下鉄からわんさか歩行者が出てくるんだ。今こちらの信号は赤だ。ほら、たくさん歩行者が歩いているだろう。我々はこれから右折するわけだからよく見ておいてほしい。

 ほら、見えるだろう。やけにキョロキョロして歩いている奴が。ニット帽にサングラス、それに長くて黒く細長いケースを肩に下げている。どう考えても怪しい。間違いない、奴は殺人鬼だ。あのケースから刀を取り出し、我々を見つけるなりすぐザクっといくのだ。まあ、安心しろ。車の中まで刀が貫通することはない。

 さあ青になった。じりじりと進んで止まれ。歩行者が横断歩道を渡っていく。奴も渡り出した。早まるな、ここで行けば関係のない人間もあの世に配送しちまう。待つんだ。ん? 奴がこっちを向いた。


 かがめ!


 危なかった。我々の視線を察知するとは。奴もなかなかやる。さあ、対向車に気をつけて。よし、行け。もう安心だ。









 

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