第11話 拘束


「なあ、これ、本当に極まってんのか? 少し暴れてみたらどうだ?」と、ジークが言った。


床に転がっているムーは、「多分、動けないよう。両手が後ろだし、足も膝から下が固定されてるもん」と、もぞもぞしながら言った。もぞもぞに合せ、色んなところがむにむにと動く。


俺の隣にいたオオサンショウウオ娘は、「上手。凄い」と言って、動けないミノタウロス娘の顔の下に枕を置いてあげている。


オオサンショウウオ娘は、身長150センチちょっとだと思う。手の甲から肩に掛けて、うつむけになったとき、日光に当たるような部分は黒っぽいオリーブ色をしており、手のひらや二の腕の裏側などは真っ白い。顔は白く、髪は黒い。ジークより細身で、美少女っぽいたたずまいだ。お尻から両生類独特のつるんとした尻尾が出ているけど。彼女はこう見えて、接近戦闘班に配属されているくらいだから、きっと強いのだろう。今は包帯でぐるぐる巻のミイラ状態だが。


「そうだな。だが、暴れる相手をこうも綺麗に拘束はできないだろう。スキルのバインドかスタンを覚えておいたらどうだ」と、ジーク。


「おいおい、俺の唯一のスキルが拘束系だったら、怪しまれないか?」


「確かに怪しいな」と、提案者のジークに返された。


俺とジークが駄弁っていると、オオサンショウウオ娘が俺の股間を覗き、「ねえ、大きくなってない? ムーで一発したら?」と言った。何を言っているんだこの娘は。


ジークは少しあきれた顔をして、「おいおい、俺が気付かない振りをしてやっていたのに。まあいいか、どうだ、ムー、嫌か?」と言った。


「ええ? この格好でするのぉ~? でも、あなた強いしぃ、どうしようかなぁ」と、ムーが返す。


え? やること自体はいいのか? 格好が気になるだけで。マジで?


ジークは「まあ、このおっさんは、縛られてケツを突き出しているお前に欲情している。させてやるんなら、このままの方が良いんじゃねぇか?」と言った。


こいつらは、もはや悪鬼云々なんてどうでもいいと思っていそうだ。俺達が隔離生活を送るのは村の住民を安心させるためで、おそらく大丈夫だと思っているんだろう。


「うん。いいよ~あなた強いしぃ、きて」と、下からムーが言った。その瞬間、目の前の物体が、何かとてつもなく卑猥なものに見えた。


オオサンショウウオ娘は、「ささ、おじさん、良いって。見ていてあげるから、やってあげてよ」と言って、ムーのズボンを下ろし出す。


女子の集団は、往々にしてエロくなる。女だけの環境がそうさせるのか、本能なのか、それは俺には分からない。

というか、彼女達の目的は男捜し……すなわち、子作りセック○の旅に出ているのだ。そういうことに興味津々なのは分かる。


「い、いいのかよ」


ムーは、縛られている状態から必死で後ろを振り向き、「うん、いいよ。それより、あなた辛そうにしてる。私で慰めていいよ」と言った。


ジークは、「ほらほら、遠慮するな、俺は昨日やりすぎて疲れてっから、相手してやれねぇ。今日のご褒美と思ってよ」と言って俺の背中を押す。


「うん。今日は助かったから~」と、ムーが言った。すでにズボンは下ろされている。


「そうね。私も、これから子作りするのに、処女じゃヤダ。大きな街に着く前に、捨てておきたい」と、オオサンショウウオ娘が言った。この娘は、ぱっと見高校生くらいに見える。そのぱっと見高校生が、ぐるぐる巻の包帯をほどいていく。中から出てきたのは、きめ細かい肌。悪鬼に切られたはずの傷は、どこにも見当たらない。


「まあ、俺達の旅は、序盤だ。まだニンシンするわけにはいかねぇぞ」と、ジークが言った。


ニンシンNGかぁ。すると言っても、擦るだけとかになるのだろうか。それとも、ゴム的なものがあるのだろうか。


ムーは、縛られて尻を突き出した格好のまま、「避妊魔術掛けて」と言った。あるんだ、避妊魔術……


ジークは、「分かってるって、さあ、安心して出しな」と言って、俺の服を脱がしにかかる。俺は、ジークに服を脱がされながら、目の前の丸いものを目の当たりにし、理性が吹き飛んだ……



・・・・


「おい、もう朝だぞ」と、俺の体の上に乗っているやつに言った。


「うん、明るい。温かい。結局、誰も悪鬼にならなかったね」と、俺の上にいるオオサンショウウオ娘が言った。


こいつは長い。そしてタフだ。異世界転移でタフな体になった俺並だ。それに、エロい事に興味芯々で、色々とさせられた。一晩中。最初はムーとしていたはずなんだが、数回目に途中参戦したこいつとずっとやり続けてしまった。


「お前、足の指は5本なんだな」


今、この娘の頭は俺の足の方にある。足がこちらに向いているから、気付いてしまった。


オオサンショウウオ娘は、「そうね。不思議でしょ。手は4本しかない。ムカデ娘は5本なのにね」と言った。


同じ部屋では、ジークがムーの足を枕にしてぐーすかと眠っている。ムーも、あの後拘束を解いて、今は気持ちよさそうに眠っている。


で、俺達は朝までずっとやっている。彼女、ハマってしまったそうだ。

何がそんなに楽しいのか、色んな体位を試させられた。


オオサンショウウオの生命力がそうさせるのか、個人の趣味なのかよく分からないが、昨晩、ムーとした後は、ずっと、彼女とやっている。


「よく飽きないな」


オオサンショウウオ娘は、「だって、うちら女だけでしょ? 男のこと、色々と想像していたんだ。楽しみにしてた。そしてさ、とても強い戦士で、何でもさせてくれて、タフな人が目の前に現われたら、そりゃやるっしょ」と言った。


俺は、「そうか。それは何より」といって、オオサンショウウオ娘の背中をなでなでする。


貞操観念は、すでに吹き飛んだ。異世界に来て、目の前にヤッていい女がいたら、そりゃやってしまう。

いや、この子らは、ひょっとしたら俺を慰めてくれているのかもしれない。俺は昨日、人型のモノを殺害した。それは仕方がなかったことだったと思うけど、自分で思っている以上に周りから辛そうに見えたのかもしれない。


考えすぎかもしれないが、少なくとも、今気持ちがすっきりしているのは、彼女らのお陰だ。嫌なことは忘れられそうだ。

彼女が俺に好意をよせているかどうかはよく分からないが、エロい事に興味芯々の若い女子に、自分の都合を押しつけたみたいで少し罪悪感がある。だが、そのお陰で、俺は立ち直れそうだ。おそらく、俺は昨日、この子に甘えたのだろう。精一杯、何度も……


それにしても、つくずく俺の体は不思議だ。疲れてはいるんだが、持っている。一体、何回やったことやら。


「あなた、昨日はピーカブーとやってたでしょ。一晩中」と、オオサンショウウオ娘が言った。


「殆ど気を失っていたけど。一晩中、あの貝の中にはいたな」


「そう。きっと、一晩中やってたと思うよ」と、オオサンショウウオ娘。そうなのか、俺はほぼ気絶していたと思うけど。


「ねえ、次は上下交代してよ」


「もう朝だろ。みんな起きる」


「あと一回だけ」


「立ってするか」


「いいね」


その後、起きてきたジークにあきれられるまで、オオサンショウウオ娘と続けてしまった。



・・・・


6畳一間の家を出て、村長に一言報告すると、直ぐに解放された。結局、誰も悪鬼には成らなかったということだ。俺はジーク達と別れて、とりあえず仲間を探すことに。

村を歩くと、直ぐに一人目を発見した。スキンヘッドだから直ぐに分かる。


俺が小田原さんに近づくと、「おはようさん。悪鬼とやらにはなっていないようだな」と、彼が言った。


「そうですね。接近戦したうちらも、遠くから弓を放っていたウマ娘達も大丈夫みたいで。まあ、弓矢はわざと当てていなかったらしいですが」と返す。


「そうか。元気そうでよかった」と、小田原さん。


実は、オオサンショウウオ娘のせいで寝不足で疲れてはいるんだけど。


「スタンピードはどうなりました?」


昨晩、外では少し音がしていた。おそらく魔物が襲ってきたんだろうと思う。俺は、申し分け無いなと思いながらも、部屋の中で遊んでいた。


「小物が少々出たな。あまり煩くない方法で倒していたんだが」


「いえいえ、煩くなかったですよ。とりあえず、モンスター娘達が朝餉を造ってくれてるんで、それの世話になってきます。その後はどうしよう」


「今日は探索隊を結成して、森の様子を見に行くそうだ。この村の連中はなかなか強い」


俺は、「強くないと、こんなところの村人なんて、やっていられないんでしょうね」と言って、周りを見渡す。


ここは、石や木で組まれた壁に囲まれている。


川の水を引き込んで池が造られており、そこには魚が泳いでいる。

畑もあって、野菜が育てられている。


自給自足の生活が出来る環境があるようだ。宿もあるし、村の端には丸太が積んであったりする。ゴミも落ちていないし、悪臭もしない。


小田原さんは、「そうだな。さて、私はケイティと見張りを変わってこよう。それじゃ」と言って、去って行く。


なんだか、とても申し分け無い気分になった。彼らが夜を徹して村の防衛に当たっているときに、俺は夜を徹して黒髪女子高校生みたいな体格の子と格闘戦を繰り広げていたのだ。ただ、その女子高校生は、オリーブ色と白のツートンカラーで尻尾が生えているけど。


などと思いつつ、お腹が減った俺は、モンスター娘達の馬車が停めてある方に行く。



・・・・


「おはよう」


「おはよう。朝食、出来ていますよ」と、ぐつぐつと沸騰するスープの味見をしていたムカデ娘が言った。きりっとしたクールビューティだ。


昨日は剣を持っていたけど、彼女は一応、食事係なのだ。見た目は170センチくらいの俺と同じくらいの身長で、所々に外骨格が張り付いており、それが鎧に見えてカッコいい。一瞬戦闘系に見えるけど、彼女は料理番だ。いや、戦闘もできる料理人なのかもしれないけれど。


俺がポケェとムカデ娘を眺めていると、横からひょっこり現われた小さな娘が、スープを渡してきた。この子は、マジックマッシュルーム娘だな。


「はい、レンコンのスープです。ここの特産品を分けてもらいました」と、マジックマッシュルーム娘がスープの入ったカップを俺のお盆に置きながら言った。この子は身長120センチくらいしかない。


俺的には、この子が一番の謎だ。一体、どういうモンスター娘なんだろう。


まあ、いたずらするわけにも行かないので、そのままスープを貰い、焼いてあるパンを一個取って、テーブルに着く。


俺に気付いたグレー髪のトカゲ娘が近づいてきて、「あら、無事だったみたいねぇ。良かった~」と、言った。


「ええ、おかげさまで」と、我ながら意味不明なことを言った。


トカゲ娘は、俺が座ったテーブルの斜め前に座り、「ねえ、あなた、ムーとギランともしたんだって? どうだった?」と言った。


ムーとは、ミノタウロス娘だが、ギランって誰?


俺が固まっていると、トカゲ娘は「あら、あの子、皆に自慢しまくっているわよ。オオサンショウウオ娘のギランよ」と言った。


「ああ、あいつはギランというのか。まあ、ヤッたね。うん、した」


本人が自慢しまくっているんなら、隠していてもしょうが無い。


「あの子、エロいことに興味津々でね、色んな体位を研究していて、別の穴や口とか脇とか手とか足とかを使った技の数々も、いつか全部試したいって意気込んでいたの」と、トカゲ娘。


「そ、そう」


「でね、その殆どをさせてくれたって、とても喜んでた」


「ふ、ふうん」


「そして、ムーとの拘束プレイでしょ? そんな方法で感じやすくなるなんて、盲点だわ。すごい」


「へ、へぇ」


「デンキウナギ娘の電撃プレイやマジックマッシュルーム娘の幻覚プレイも凄いらしいけど、あれはやり過ぎると死んだり、廃人になったりするからね」


「マジかよ……」


「オオサンショウウオ娘は、喉の奥にも性感帯があるから、そこもちゃんと刺激してあげないと駄目だからね」


「そ、それは知らなかった」


「それでさ、今日もするんでしょ? 今日は私も混ぜてね。私は見学専門だけど」


「え?」


今日もするんだ。


「ギランはね、今度はあなたを拘束したらいいんじゃないかって言ってたわ。まずはライオン娘に羽交い締めにしてもらって、自分はひたすら喉で……」


女の会話はエグい。こいつらは、こうやってひたすらエロい妄想会話を続けているのだろう。

俺は、トカゲ娘のエロトークに相づちを撃ちながら、パンとスープを平らげていった。

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