痛むこと、耐えること
生きているだけで、どうしてこれほど辛く、苦しいのでしょうか。
私はこの痛みを忘れるために本を読み、歌を歌い、遊んで暮らしてきました。けれど、それを忘れられたことなど片時もないのです。
いつもいつも、楽しんでいる最中に痛みがふわりと雲のように浮かんできては、それを必死になってかき消そうとするのに、より深い深い痛みとなって、私を、どうにも後戻りできなくさせるところまで押し込んで、身動き取れなくして、なんだかもう、私は……私は、疲れてしまいました。
痛みばかり見つめ続けてきました。もう逸らしたっていいでしょう。散々です。たまらないのです。私の体では、耐え切ることができません。壊れかけているんです。許容範囲以上の痛みを感じ続けて、劣化しているんです。触れただけで崩れるんです。ほろほろと、ほろほろと。
一体、なんの得があるのでしょう。こんな体を引きずってまで、得られるものなどあるわけがないのですから。馬鹿馬鹿しい。燃費の悪い体がこの時代に向いているとは思いません。
だから、もうやめにしたいのです。私は、辛いのです。どうしようもなく、辛いのです。
ああ、体が、崩れていく。誰にも止められない。あなたにも、私にも。意思などない。それが自然の摂理だとでも言うように、ほろほろと、ほろほろと。
ああ、ああ、なぜ。なぜ、崩れる。私は、どうして、この胸が、張り裂けそうなくらいに、私は、ああ、ああ! 崩れてしまう!
どうすれば良かったと言うのか。たらればほど嫌いなものはないけれど、今ほど科学者の道に進んでいればと思うことはない。
我を忘れたり、正気に戻ったりして、生きる、あなたはそんな私を見て、きっと哀れに思うことでしょう。
しかし、決してそんなことしないでいただきたいのです。
私は笑ってほしいのです。この滑稽な姿を、阿呆だと笑ってほしいのです。踊ります。阿呆は踊るものだから、踊る私を見て、あなたは笑う阿呆だから。
ああ、もう立ってさえいられない。立たせてくれる人さえいない。一人で立つと言ってきた人生ですから。一人で立つしかないのですから。
どうか、どうか、あなただけは、私を思って、泣いたり、しないでくださいますよう、心の底から、願って、祈って、おります。
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