第19話 ギルドへ登録

 俺は一旦、カンポの街に引き返した。


 街の中を歩き、ギルドを探す。


 あった。


 一回目と同じ場所に会った。


 周りよりもひときわ大きな建物。

 一回目の時よりも大きく立派になっている。


 このご時世、相当儲けてやがるのか。


 看板には『冒険者のギルド カンポ支店』と書いてある。

 両開きの扉を両手で押し開く。


「こんにちは」


 ギルド内には酒のにおいが充満していた。


 それもそのはず、ギルド内には酒場が併設されていた。

 そこでは、酔いつぶれた冒険者が机や床をベッドにして寝ている。


「まったく、だらしねぇ連中だぜ。なぁ、豆柴」

「ガウ、ガウウウ!」


 豆柴は食べ残しのチキンに食らいついていた。


「豆柴~! ごめんな、満足な食事も与えてなくて」

「ワウ! ワウ!」


 ギルドで稼いでごちそう食わせてやるからな。


「あ、なんだぁ? うるせえな……」


 あ、起こしちゃったな。


 いかにも荒くれ者と言った感じの男達が起き上がって来た。

 冒険者なのだろう。

 冒険者達は、失礼という言葉を知らないのか、初対面の俺にギロリと視線を投げつけて来る。


 う~ん。

 一回目のギルドにはこんなヤバそうないなかったぞ。


 俺はその視線に合わせない様にした。


 人間といざこざを起こすと面倒だ。

 神様が見ているかもしれない。


「あそこが受付だな」


 赤い髪をした受付嬢と思しき女が俺を見て、にこりと笑った。


「いらっしゃいませ。カンポの街の冒険者ギルドへ」


「あの~登録したいんですけどぉ」


「はい。登録料として金貨5枚です」


 高いな、おい……

 前回は金貨1枚だったろ?

 ……って、俺は既に、一回目の転生でギルドに登録している。

 そのデータが残ってるんじゃないか。


「俺、アオイっていいます。すでに登録されてると思うんですけど」


「あら、すでに登録されてるんですね」


 受付嬢は登録簿を手に取って見ている。


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る