飼育

 小学三年の時、クラスで何かを飼っていた。


 メダカやハムスターの様な一般的な生き物ではなかった気がするが、よく覚えていない。

 何かを飼育していたのは確実なのに、なんだったか思い出せない。トカゲの様な、爬虫類だった気もするが、あまり自信が無い。


 先日、同窓会に参加した際、クラスメイトにその話をしたが、みんな口を揃えて「何も飼ってなかった」と言う。

 元担任にも聞いたところ、会場のすみに呼ばれた。何かと思ったら、財布から数枚の万札を渡してくる。


「え、なんですか、これ」


「いいから」


 黙って受け取って、この話は終わり。それが正解だと、妙に爬虫類じみた冷たい担任の目を見て、直感的に悟った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る