ひろしの怒り
改淀川大新(旧筆名: 淀川 大 )
まえがき
前作「ひろしの七罪」については、読者から賛否両論、是々非々の意見をいただいた。いずれにしても、読了いただいた読者諸氏に対しては、この上ない感謝の思いでいっぱいである。
しかしながら、私には一点だけ看過できない事がある。「スキップ野郎」の存在だ。一話おきにすっ飛ばして読む
私は思う、この人たちは品性というものをどう捉えているのだろう。
確かに、師走の時期に多忙を極めるのは人の常であり、理解もできる。スキップ、スキップで早めに片してしまいたい、そんなところだろう。だが、それは公園の健康運動コーナーか、有名な某動画サイトの画面の端っこでのみやって欲しい。私だって運動するし見たくない広告はスキップする。
しかしながら、小説などの創作文についてはどうか。前作で述べたとおり創作文は全体の流れやバランスまでも深く考慮しながら作られているものではあるまいか。見たくないから、忙しいからといってそれを飛ばしてしまっては、全て台無しである。結局、読む意味は無いように思われる。
しかも、多くの作者の皆さんは苦心して検討し、適所に伏線やヒントなどを少しずつ散りばめて、第一話から最終話までの流れを作って読者を楽しませようとしてくれているのではあるまいか。その苦心や苦労に報いないような行動を取るのは少し非情なのではあるまいか。これが理解できないのならば、聞いて欲しいよバラライカ。
ともかく、飛ばし読みはやめて欲しい。忙しければ時間ができるまで待って、時間のある時にしっかりと読んで欲しいし、一話ずつ、ちゃんと続けて読んで途中で切り上げ、また時間ができた時に読むというスタンスをとってもらいたい。あるいは、読むスピードを上げるように努力してもらうか。いずれにしても、飛ばし読みは作者に対して失礼だと思う。つまり、優しくない。間隔を空けて突き出ている読者数の棒グラフを見て、努力して書いた作者がどんな気持ちになるか想像してもらいたい。
職務上、仕方なく読む業務文書や、世間付き合いのために読む新聞記事などではあるまいし、せっかく好きで読む小説・エッセイなどなのだから、肩の力を抜いて、でも、読むのならば、ちゃんと続けて読む、読めない事情があるなら、読めるところまで読む、または、後で読む。これでいいのではないか。
一晩で書きなぐった拙作ではあるとはいえ、可愛い我が子を飛ばし読みされて、私も怒り心頭に発したので、急遽、本作を執筆してみることにした。
本作はラブストーリーを主軸とした現代ファンタジーである。作者としてはこれまで執筆したことがない分野であり、まさに新境地であるが、このような不穏な心理状態から離脱し、心の平穏を保つためには、SFバトルものやミステリーなどではなく、やはり穏やかなジャンルの作品を綴るべきだろう、と考えた次第である。
冷静な執筆に心がけ、安寧をもって読者の皆様に楽しんでいただける作品を目指したい。
二〇二二年一二月某日
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