第22話 みんな大好き文化祭!③
浜田さんに連絡した帰り道、さっそく愛花に相談してみる。
「なぁ、いくら公言してるようなもんだからって俺を無理やり主役にするなよ…」
「いいでしょ?私が王女役になった以上、主役は選びたいなぁって」
「そのせいで俺が演技して正体がバレたらどうするんですか???」
「まぁそのときはそのときだよ!」
やっぱりこうなるんだ...。なんとなくわかってたけどさ。
一応演技のレベルを落とすっていう方法をとればなんとかはなるんだけど、なんでかわからないけどできないんだよなぁ...。はぁ…どうしようか...。
◇
翌朝。
朝から悩みに悩みまくった結果、演技のレベルを当日までに落とすという方法をとることにした。今度、遥乃との共演予定があるから遥乃に聞けば何とかなるかもしれんしな。
「ということで演技のレベルを落とそうと思う」
二学期始まってから一緒に登校している愛花にそう言うと、
「えー?私完璧な演技が見たいんだけどなぁ…」
めっちゃ目うるうるしてらっしゃるけど!つぶらな瞳じゃん!すっげぇかわいいけどさ!
「流石に今回は我慢してくれ、あまり人がたくさん来られても困るからさ」
「うう~わかったよぉ」
あいかわらずかわいい顔してらっしゃる。これで今日も頑張れますわ!
「いっせーの、3!あぁ!クッソー!」
「いっせーの、2!よし!」
またやってんのかよあいつら。
「おい雅、布目と浜崎はなんでまたやってんだ?」
「いや、浜崎が最弱王に負けたの悔しいからリベンジする!って言ってなんかやってるわ」
「でも最弱王作り出したのお前の一言だからな?」
そう、実は最弱王の命名は雅が言った一言によってされていた。まぁクソほどどうでもいいんだけどね。
「まぁまぁ、面白かったからいいだろ?」
「それはそうだけど、まぁ俺には関係ないからいいか」
「そういうことだ」
いやどういうことだ。
ちなみに最弱王勝負、今回はちゃんと琉佳が勝ったらしい。
――放課後。
今日から演技の練習、小道具などの作成が始まる。
演技に関しては、本番の時にはその演じるキャラにあわせて服装なども整えるらしい。すると、
「栄太君は演技しなくて何するの?」
「俺、一応レベルは落とすけど演技には自信あるからさ、小道具とかの指示出してくる、演技の指示関しては愛花に任せるよ」
「分かった、私は栄太君のことは指示しに行ったって言っとくね」
「ああ、愛花とのシーンが来たら呼んでくれ、そこくらいは合わせるよ、何とか」
大丈夫かなぁ。ちょっと心配になるけど…。
そのあと、道具作りのメンバーに指示を出していたものの、愛花がボロは出さなくて安心できたが、俺は演技がのレベルを落とせるかがわからず心配していた。
本当に心配しなければならないのはレベルを落とせるかではないことに気付かずに…。
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