第12話 やってきた舞台挨拶の日
今日は7月30日、俺の出る映画の舞台挨拶の日だ。未海や中野さん、来れるかはわからないと言っていたが雅達は来ているだろう、いつも陰キャとして過ごす俺とかかわってくれてる分、こういう風だがお返しさせてもらおう。
「今日の課題はばれないようにする、だな」
「何をバレないようにするんですか?」
「おわっ!どうしたんだよ、遥乃」
「明さんがいつもと違って黙り込んでいたのでどうしたものかと思いまして」
この子は
「いやさ、こういうイベント出るときって家族とかの招待チケットもらえるだろ?それを学校の友達3人にあげたんだが、学校では俺は正体を隠して過ごしてるから、その3人にバレないようにしなきゃなって思って」
「そういうことでしたか、」
「ちなみに名前が未海と雅と愛花だ、もしその人に会ったら俺のことを口外するなよ?」
「あー、はい、わかりました」
舞台挨拶はどのキャストが出てきても拍手と声でいっぱいになっており、特に俺と遥乃の時はすさまじかった。
舞台挨拶では残念ながら雅達あいつらをを見つけることはできなかった。
舞台挨拶では、質問コーナーがあり、その映画に関連するようなものや、本当に聞きたいだけであろう質問がきたりもする。
「じゃあ続いて...上野明さん!明さんは好きな方とかいらっしゃいますか?」
確かに普段聞かれないな、こういう質問ここは素直に言わせてもらおうかな...。
まぁ俺基本NGなしだから何きても文句言えないというね。
「いませんね、少しだけ気になる方はいますが...」
今のでも会場がざわつく。まぁこれくらいならいいだろうな。
あとは普通の収録の時などの話をした。
舞台挨拶が終わり、ふとスマホを見ると、LINEがたくさん。しかもこれはこの前海に行くって話した時に時間決めてないからで作ったグループじゃねえか。ええと...?
「早川君、ヤバかったよ!明様を拝めて幸せだよ!」
「にしても早川も用事なんて残念だったなぁ」
「ホントだよね~せっかくの生明を拝めるチャンスだったのに」
「でも少し気になる人はいるってのが残念だなぁ、」
「そうだよねー、会ってたりしてたらわからないけど、会ったことないしねー」
いや会ったことあるよ?学校で毎日顔合わせてるよ?あと生明って何?俺が知らないだけでファンがそう言ってるだけとかならまだいいんだけど。そうじゃなかったら嫌だなぁ。
「用事がなかったら俺も行けてたかもね」
とだけ返信してLINEを閉じた。
そのあと30分後、俺は観客も使う道にいるため、すごくたくさんの方から写真を希望されている。俺としては嬉しいからいいんだけどね。すると遠くから聞きなれた声で呼ばれた気が...そして後ろを向くとあ、といって女性が転びかけていた。いかにも転びそうな女性を何とか転ばせないようにすることが出来た。既視感あるなぁと思っていると、
「あ、ありがとうございま――えええぇぇぇ!?明様!??????」
「だ、大丈夫...か?」
「私明様の大ファンで…」
「それは嬉しいね、これからも応援頼むよ」
「もちろんです!」
「ところで一旦立とうか?」
普通に手を差し出すと、
「明様が手を!?私はもう幸せ者だ...あ、ありがとうございます!」
「次からは気を付けなよ?」
「はい、すみません、もしよかったら写真撮ってもいいですか?」
普通の役者なら助けた上にとか思う人もいるだろう。俺はこういうファンを悲しませたくないのと、中野さんのことを知っているため、
「全然いいですよ」
写真を撮り終わると、
「ありがとうございます!一生大切にします!」
一人の友人からするとすごい大げさだと思ってしまうが、俺もこの仕事を大切にしているというと少し変だが、大事だと思っている。
「ごめんね、俺はまだこの後やることがあって...」
「あ、ありがとございました!助けていただいた上に写真まで...!」
「じゃあまたね」
「あ、はい...!」
上野明が走り出した後、愛花がボソッと言った。
「あれ?また?またってどういうことだろう?」
しかしその言葉は彼の耳には届いていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます