第77話

「さあ、これから影斬りの刃争奪戦だ!!」

「おにいちゃん?」


 俺たちは教会へと突っ走った。

 教会までどうしてか刺客は誰もいなかった。

 俺と妹は、無事に教会の床の階段に辿り着いた。


 ドアを開けて静かな住宅街に出ると、辺りは深い前と変わらず夜の闇が支配していた。

 

「おにいちゃん。もう、夜だね……。時差があるんだ……」

「いや……あ! そう……か??」


 危うくボケの一歩手前で俺は立ち止まった。

 

「あ、いや。我が妹よ。そこから違う。影の世界だから朝と夜が……うぎっ!!」


 そういや、時差でも真逆でもなんで夜なんだ??

 普通。表の世界が昼ならこちらは夜で、表の世界が夜なら……??


「うーん」

「おにいちゃん? わかった。ここはずっと夜なの。……きっと何かの大きな影の背中のところだから」

「うーん……うん?」


 我が妹よ。お前は賢いぞ!!

 おにいちゃん鼻が高いぞ!


 そうだ!

 ここは太陽の背中で作られた影の世界だ!!


 つまりは、太陽の背中の方にある世界なんだ。

 だから、陽が昇らない。

 ずっと、闇の中なんだ。


 なんかわかってきた感じ。

 影の世界って。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る