第5話

 無人の昇降口をそそくさと通り、教室まで廊下を全速力で走っていると、光は高校二年生だから二階で別れた。

 俺は三年C組の教室のドアを勢いよく開けた。


「ただいま!」


 …………


 俺たちよりも足の速い公平がポツンと教室の中央に立っていた。ポカンとしている顔だったが、次第に呆れ顔に変化した。

 学校の先生は、教壇にいるにはいるんだが……席に着いているクラスのみんなは欠席が目立った。


 さすがに、みんな遅刻というわけじゃないな。

 うん。そうだろう。


 いつも遅刻ギリギリ当番は公平だけと決まっていた。


 先生も周りの生徒たちも夜中だというのに、普通に授業が始まった。みんなはどう思っているんだろう。この夜を……。友達の公平や鈴木、橋本も……。普通に授業を受けていた。


 昼休みに公平に聞いていみることにした。


「はあ! なあ、お前。今日に始まったことじゃないだろ?!」

「え……?!」

「ほら、お前。いつも夜景が観える都会が好きなんだって、この前言ってだだろ。それと、屋台も大好きだから、夜のしんみりした祭りは最高だーーーって……今度、一緒に遊びに行こうって、言ってたじゃんか」

「ほえ?!」

「まあ、寝ぼけているのは、わかってるんだ。何たって、お前のおじいちゃんとおばあちゃんが……特にお前たちには良い人だったしな……あまり寝ていないんだろ?」

「うん?!」


 おじいちゃんとおばあちゃんが……一体?

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