終章:1
「ここが世界最大の国、グノア帝国その帝城か」
転移した先は
目の前には黒い石で造られた剛健な城がそびえ立っている。ま、俺の城のがもっとかっこいいけどな!
「
もたもたするわけにもいかないので、空を飛び廊下を突き進む。
事前に入り込んだ配下が道を教えてくれるので迷うことはないし、互いに姿を見えなくしているので誰にも見つかることはない。そもそも人がいないけどね。どうせどっかでサボってる……
数分空を飛び続けると配下が大きな扉の前で止まり、こちらに一礼すると扉を勢いよく開けた。
同時に
「……誰だ。今日は誰かと会う約束などないのだがね」
「我はオシアス皇国皇帝、ネビュトス=オシアスである。そちらはグノア帝国皇帝トムアト=グノアとお見受けする。話をしようではないか」
「予約もなしに来るような礼儀知らず、しかも
「雑魚と戦っている暇はないので本題へ入らせて頂こう。現在ヒシズ王国は崩壊、シトルイン王国は支配されたというのは知っているだろう? それは我が主導したものだ。そなたらが死への道を望まぬのなら、我々に従属せよ」
「く、くはははっ……! 何を言い出すかと思えば。そのような世迷い言を言いにわざわざこの部屋へやってきたというのか? まだこの世も捨てたもんじゃないな!」
「――はぁ。女神に見捨てられたから俺がいるってのに」
「うむ? 何か言ったかね?」
「いいやなんでも。従属か死か。選べ」
俺は影から配下を出し威嚇する。
「殺せるものなら殺してみたまえ。ちょうどいいからな」
皇帝の舐め腐ったような顔は最高に腹が立つ。
「じゃあ死ね!」
そう命じれば配下は一斉に飛びかった。
勝利を確信したその瞬間――金色に光る壁によって攻撃が遮られた。
「いでよ女神の尖兵! その無礼者を屍へと変えてしまえ!」
そうすると俺でも知ってる存在――
全身がボロボロで鎖が巻かれているのを見るに、捉えられて従属させられたのかもしれない。そりゃクソ女神もキレるわ。
「配下たちよ! その魂の全てを
言葉には出さずとも、承知の意が伝わってきた。
彼らを目で追えば、どうやら俺の考えを理解したようで、壁を突き破り空中で戦っている。
「皇帝よ。これで邪魔者はいなくなった……なっ!」
あいつ、戦いながら守るとか器用すぎるだろ……
「
咄嗟に配下を数十名解放する。
「半分は皇帝を攻撃し続けろ。もう半分は戦闘に参加しろ!」
そして俺は皇帝との戦闘に専念することにした。
「
皇帝を守る障壁に、幾千の剣が降り注ぐ。
それに合わせて俺は剣で同じ場所を刺し続ける。
障壁はまるでガラスのようだ。だからずっと刺せば割れるのではと考えたからだ。
「
直径2メートルの炎の壁で周りを覆う。
これで
キン、キン――と音を鳴らしながら障壁に突き立て続ける。
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