第15話 おばあさんの力量
「え、でも、じゃあ」
おばあさんは思いついたことがあり、ふっと太郎を振り返りました。
「どうした?」
「え、でも、だったらわたしが思いっきり太郎を抱っこしたら太郎の命に関わるんじゃ……」
「え?」
言われておじいさんもハッと気がつきます。
そんな怪力になってしまったおばあさん、赤ん坊の太郎を抱きしめたら、もしかして太郎のか弱い骨をへし折り、内臓も握りつぶしてしまうのでは。
「た、太郎や……」
おばあさんはおそるおそる太郎に近づきます。
「きゃっきゃきゃっきゃ」
太郎はうれしそうにおばあさんを見て笑います。
「今日のお昼も安心してギュッと抱きしめてしまったんですよ、太郎、大丈夫なんでしょうか」
「なんだって!」
おじいさんも急いで太郎に近づきますが、
「きゃっきゃきゃっきゃ」
太郎はうれしそうに笑うだけです。
「どこもなんともないみたいだねえ」
「そうですねえ」
「もしかしたら、おばあさんは知らないうちに力を加減していたんじゃないのかい?」
「それは……」
分かりません。
お昼は夢中で太郎を抱きしめてしまいましたが、その時に自分の力がどうとか考える余裕もありませんでした。
「ちょっと試してみたらどうだ」
「え?」
おじいさんがそれほど太くはない薪を一本持ってきて、
「ちょっとこれを折ってみなさい」
「え、そんなもの折れるはずが」
ぽきっ
「折れました……」
「じゃあこれは」
「2本も折れるはず……」
ぽきっ
「折れました……」
「じゃあ3本」
ぽきっ
普通なら1本でも折るのが難しいだろうと思われる薪ですが、おばあさんは軽々と3本
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