孤高の天才美少女棋士は、最大のライバルの俺にだけ甘えてくる
軽井広💞キミの理想のメイドになる!12\
第1話 ずっと一緒にいるために
好きな女の子が、この世で最も手強い敵だったとき、どうすればよいのだろう?
朝宮香介・奨励会三段は、ずっと悩んでいた。香介はまだ中学生二年生だけれど、将棋のプロになるまで、あと一歩のところまで来ていた。
将棋のプロになるには、奨励会というプロ養成機関を勝ち抜く必要がある。それはとても難しく、数多くの秀才たちが脱落していった。
そんななかで、過去から合計しても、中学生でプロ棋士になったのは五人の天才だけだ。
当然、香介も天才と呼ばれるはずだった。
そう。この少女さえいなければ。
そんな香介の内心とは無関係に、目の前の少女は微笑む。
「来年も一緒にいられるといいね」
彼女の端整な顔立ちに、幸せそうな優しい表情が浮かぶ。今は元旦で、香介は彼女と一緒に初詣に来ていたのだ。、
少女のきれいな黒髪がふわりと風で揺れた。赤い鮮やかな振り袖が、彼女の可憐さを引き立てている。
その女の子の名前は
香介と同い年で、同じ学校に通う美少女だ。「孤高の女神」と呼ばれるほど、美しく、カリスマ性のある子だ。
そして、真夜は、香介と同じ奨励会三段だった。
そう。
二人はライバルだった。「将棋の天才」と呼ばれるはずだった香介。その地位を奪ったのは、初の女性棋士となることが期待され「真の天才」と名高い真夜だった。
香介は、真夜とプロ入りをかけて、三段リーグで戦うことになる。
それなのに、とある事情で、数ヶ月前から香介と真夜は同居していた。そして、香介にとって、真夜はこの世で一番大事な女の子だった。
中学生になって、初めて自分より大切な相手ができた。彼女は倒すべき敵だった。
その運命を、香介は今でも受け入れられていなかった。
真夜が香介の目を覗き込む。見つめられて、香介は自分の体温が上がるのを感じた。
「どうしたの?」
「い、いや、なんでもないよ。でも、そうだね。来年も一緒にいられるといいんだけど」
「一緒にいられるよ。二人ともプロになればいいんだから」
そう言って、真夜は笑った。
14歳の二人の前にとって、問題はごくごく単純なことのように思えた。
将棋のプロになること。
そうすれば、すべての問題は解決する。
そのときの二人は、そう思っていた。
<あとがき>
才能ある孤独な少年少女が、ライバルである互いにだけ心を開いていく同棲ラブコメです。
面白そう、続きが気になる、更新頑張って! と思っていただけましたら
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