癇癪持ちの女は変わる
王妃という肩書きや権力、お金が大好きな
「このお茶とっても美味しいです!!どこのですか?」
「それは東の国の『緑茶』よ。外交の場で覚えておいたら便利だから、覚えておきなさい」
そう、彼女は遠い異国の地で貴族の娘の教育を担う組織に所属していたのだ。
メアリーの兄に引き渡されたこの女は、高飛車で傲慢な態度をメアリーの兄に叩きのめされ、その後兄が新しく始めた事業たる『淑女塾』の教師として働くことになったのだ。
ここの塾の生徒は実に素直で真っ直ぐだ。実直に女の教えを飲み込み、次々に満面な笑みで質問をしてくるのだ。本当に調子が狂う。
「ユリアーナ先生!これは?」
ユリアーナと呼ばれた
「練り切りよ。これも東の国のもので、おやつよ」
「これは!!」
「牡丹餅」
「これは!これは!!」
「………………桜餅。」
「ねぇ、先生!!」
ユリアーナの片眉がピクピクと動いた。
「ねぇ、ねぇ!!」
「いい加減になさいましー!!淑女はそのように元気いっぱいに質問したおす者ではございませんわ!!質問はお淑やかに、丁寧になさいまし!!」
今日もユリアーナはお淑やかさだけは学ばない生徒を、元気に叱りつける。
生まれ育ち、王妃として長年過ごした国よりも、何故か圧倒的に幸せな空間で、ユリアーナは誰にも知られずひっそりと死んでしまっている息子のことも、自分の事を嫌っていた残酷な元夫のことも忘れて、馬車馬のごとくこき使われていることに気づかず、楽しく過ごしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます