飴ちゃんと恋ちゃんの嘘~この愛を守る為ならこの身を全て捧げよう~【彼×彼と彼女×彼女のお話】【仮】

三愛紫月

プライドないの?

俺の名前は、雨宮千歳あまみやちとせ 元声優、年齢39歳


千歳飴ってあるだろ?あれと同じ漢字と雨をかけてあだ名が飴ちゃん。


「飴ちゃん、プライドないの?」


「は?別にねーよ」


「はい、5万」


「サンキュー」


俺は、この男の玩具だ。


高梨美麗たかなしみれい、年齢28歳


今をときめくイケメン俳優だ。


イケメンだから、いいんだけど。


笹森梓ささもりあずさ人気女優と週刊誌載ってたよな」


「ああ、あっちはレズ」


「煙草煙いから」


俺は、窓を開けに行く。


「飴ちゃん、ヤキモチ妬いてんの?俺達、そんなんじゃないじゃん」


「知ってるよ。てめーが好きなのは、氷室朱斗ひむろしゅうとだろ?イケメン俳優とミュージシャンか、まだ25歳の女好き」


「飴ちゃん、暇すぎて調べた感じ?だけど、俺、飴ちゃんをスタイリストに紹介された時は嬉しかったよ。こんなに、イケメンな声優が売れなかった理由はなんだったんだろうね?アプリ、ひかりの王子様がよくなかったんじゃないの?」


俺は、美麗に煙草の煙を顔にはかれた。


「ケホッ、コホッ、人の人生の汚点をサラサラと話すなよ」


「別にいいじゃん!もしかして、飴ちゃん、俺のキスシーンにもヤキモチ妬いてる?」


そう言って美麗はチュッて、唇を重ねてきた。


「妬いてない!やめろ。あっ、今まで散々世話になったけど。俺、明日から働くわ」


「どういう意味?」


「週刊誌に載ったんだし、ちょうどいいだろ?潮時だ」


「飴ちゃん、俺、別れないよ」


美麗は、俺を後ろから抱きしめてくる。


「駄目だ。週刊誌に追われるだろ?レズやゲイだって誰も信じないだろうし。俺は、金欲しかったから美麗とこうやってただけだし、美麗は俺を氷室のかわりにしてただけだろ?」


「飴ちゃんのそういうとこ嫌いだわ」


美麗は、また煙草に火をつける。


「俺もそろそろ身を固めたい。子供がきが欲しい」


「飴ちゃんって酷いよね。男も女もいけるからズルイよ。平気で俺みたいなの傷つけてくるね。子供がき作れないのわかっててわざと言ってるの?」


美麗は、煙草を灰皿に押しつけて消して、立ち上がった。


「何の仕事すんの?」


「ハリーさんから、紹介されたスナックのボーイだ」


針山はりやまさんも、意地悪な事するよね」


「社長としては、当然だろ?稼ぎがしらだ」


「わかったよ。飴ちゃん。さよなら」


バタン…。


ほら、たいした事なかったろ?


なのに、涙が出るのは何故かな?


俺のこのクソみたいな人生の中の唯一の薔薇だったからかな。


美麗と出会った5年間。


美麗が、売れない俳優のままだったら一緒にいれたのかもな。



二日前ー


ピンポーン


「忘れもんか?」


「久しぶりだな。飴よ」


「あっ、ハリーさん。どうぞ」


「お邪魔します」


「コーヒーインスタントですが、いいですか?」


「ああ、お気になさらず」


この人は、針山龍之介はりやまりゅうのすけ。俺の元所属事務所社長、今は、高梨美麗たかなしみれいの社長だ。


俺は、ハリーさんにコーヒーを出した。


「美麗が、昨年から爆発的に売れ始めたのは知ってるね?」


「はい」


「今は、引っ張りだこだよ。お陰で、美麗の忙しさは昨年の5倍に昇る。これから、もっともっと稼ぐんだよ。わかるか、飴?」


「わかってます」


ハリーさんは、煙草に火をつけながら話す。


「飴の時も、あのアプリでいけそうな予感がしてたのにな。飴にきたのは、バカな役だった。あの台詞のせいで俳優にもいけなくしてしまったな。本当に、すまなかった」


「謝らないで下さい。天涯孤独の俺を救ってくれたのはハリーさんですから…。感謝してます」


俺は、ハリーさんに頭を下げた。


「飴とは、もう23年の付き合いだな。美麗の事、理解して欲しい。それと、ここのスナックのボーイで働きなさい。話しは、通してあるから…」


「感謝しています」


「じゃあ、またな。飴」


そう言ってハリーさんは帰っていった。


じゃあな、美麗。


この日俺は、美麗を失った悲しみを感じながら眠った。




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