聖女様が義妹になったので家に居づらいです〜実は美少女な地味子の家にお邪魔します

ゆきはなび❄️

第1話 美少女との二重生活


 場所は俺の家のリビング。

 俺と2人の美少女が対面している。



「両親たちの前以外では余り馴れ馴れしくしないで欲しいんです」



「ああ、分かってるよ」


「あと学校でも……」


 そう言ったのは同じクラスで学園一の美少女と呼ばれている真白華。

 黒髪ロングのお淑やかで優しい美少女というイメージから聖女様と呼ばれている。



 母さんの再婚相手の子供でもう1人、心奈という中学3年の妹もいる。


 今日から家族が3人増えることとなり、同級生で異性なのに同じ家に住むことになった。




(そりゃあ警戒するわな……)



 いきなり仲良くもない同い年の男と一緒に暮らすとか誰だって嫌だろうし。



 それに俺だって真白と同じ家に住んでるなんて知られたくないしな……。



 俺は苗字を変えずに高校を通い続けることになっている。

 真白ではなく、今まで通り笹倉雪兎として。

 高校卒業までこの美少女とはなんの関係もないフリをして生活していくことを望んだ。





「私は別に……そこまで嫌では……」


 そう言ってくれるのは中学3年の心奈。

姉よりも少し短い黒のミディアムボブで、中3にしては大人びた、けれど少し残った幼さによく似合っている。

 何故かそこまで警戒されていない様だけど、なんと!

 彼女も学校で聖女様と呼ばれてるらしい……。



 勘弁してくれないか……?



 とは言えず、心の中で嘆く俺だった。




 〜〜〜〜〜〜


「ねぇ、帰らなくていいの?」



「あー…帰ります……」



 俺は遠縁の親戚であり友達でもある夕莉の家に来ていた。

 彼女は大学生のお姉さんと二人暮らしなのだが……。


 家に居づらい俺は夕飯までの時間お邪魔することに決めたのだ。



「泊まってく?なんて…冗談!冗談だからね!?」


 俺が期待する様な顔をしてしまった為めか、言ったそばから取り消された。

 弄ばれた……。


「分かってるよ……」




「なに?そんなに嫌なの?帰るの」



「嫌っていうか居心地が悪いというか」



「別に嫌いってわけではないんでしょ?」



「好きでも嫌いでもないよ。でも居心地は悪い」



 ほぼ初対面の美少女2人と一緒に暮らすというのは何かと胃が痛くなる場面も多いし…。



「はぁ……あっそ。まぁいいけどね?私は」



「なぁ、明日も来ていいよな?」



「好きにしたら?お姉ちゃんもあんたのこと大好きだし」



「も!?」




「なっ!?今のは言葉の綾というかそういうのじゃないって分かるでしょっ!?わざわざ切り取るなっ!」




 必死になって違うから!と怒ってくる夕莉。

 明る過ぎない赤茶のミディアムボブを振り乱す。

 そんな怒らなくても……。




「悪い悪い。じゃあ……帰るわ」



「ふっ。ホントに嫌なのね?」



 ホントに嫌なんだよ……




 とぼとぼと俺は帰路についた。




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