あとちょっとでジャマイカ

仁科佐和子

第1話 深夜の来訪者

「なんで1日は24時間しかないんだろうね?」


「そんな話を聞かせるために家まで押しかけてきて、私を叩き起こしたとか言わないわよね?」


「えへへ、実はシノにちょこっとお願いがあるんだよ」


「あんた今、何時だと思ってんの? 真夜中の0時! もう日付も変わったわよ!?」


 私は近所迷惑を考えて極力声を落としつつも、この非常識な来訪者を問いただした。


 この迷惑者は村井マミ。

 私と同じ大学2年生。

 ただし私は理系、マミは文系。学部が違う。


「シノはさ、単位余裕でしょ? 困ってる友達を助けてよ!」


「余裕なんかじゃないよ。成績は普通だもん。マミと違ってちゃんと計画的に単位を取ってるだけ」


「だからぁ、狙って取れるところがすごいんじゃん! 私なんてあと1単位あれば進級できるのに、最後のレポート提出がなんと、12/6の朝7時までなんだから!」


「ええっ、12/6って今日だよ? あと7時間しかないじゃん!」


「そう!」


「しかも卒業単位じゃなく?

 進級単位もまだ取れてなかったの!?」


「そう! でもあとちょっとなんだ。お願いシノ、手伝ってよ」

 マミは満面の笑みで得意げに微笑んだ。

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