第5話 悪夢再び

「アプリに登録が完了したよ! マイナンバーカードとつなぐね! 4桁の暗証番号を入力してね!」


「来たな、4桁のパスワード!

 4桁は『0381』って決めてあるんだ。パッと見ても分からないだろ? 俺の名前『近江 洋一おうみ よういち』を数字で表したんだ。

 洋を8って書くのがポイントな。ほら8日って書いて「ヨウカ」って読むだろ?」


「なるほどー! てっきり『0381まるで産廃』かと思ったよ!」


「待て。ちょっと俺、泣きそうだ」


「マイナンバーカードを認証するよ!

 カードの顔写真を表にして平らな場所に置き、iPhoneの上部を密着させてね!」


「ん? こうかな?」


「ギャ~!」


「えっ? どうした!?」


「気持ち悪いもの近づけないで!」


「ほう、俺の顔写真が気持ち悪いと?」


「顔写真を認証するよ!」


「だからこれでいいんだろ?」


「いやぁ〜気持ち悪い〜!」


「失礼なやつだな!ほら、さっさと認証しやがれ!」


「気持ち悪い〜吐く〜!!……あー、出したらスッキリしたよ!」


「おいっ! 一応お前、イメージキャラクターなんだろ? 印象最悪だぞ?」


「でもなんとか顔認証はできたよ!」


「お、おう、あの状況で頑張ったじゃねぇか!」


「注意事項・利用規約を読んでね! 同意して『申し込む』ボタンを押したら手続き完了だよ!」


「よし、長かった! これで完了……ってボタン押せねぇぞ?」


 bu子も固まったまま動かない。

「おい、嘘だろ、バグかよ?」

 俺はショップの店員を呼んだ。

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