第1回 #架空レビューコンテスト

第三ターム

投稿レビュー

【061】孤高の女将軍に骨抜きにされました(〃ω〃)

　幼い頃に家族と国を失い復讐を誓う皇女は数年後、敵国の将軍にのしあがる。陰謀や私欲が渦巻く帝国で心を許した者を失い、裏切られ、敵を討ち果たしていく――。

　とにもかくにも主人公がかっこいいのです。血が通っていない冷静沈着な性格に反して敵でも助けてしまうお人好しな面も持ち合わせています。皇女故か過酷な修行故か世間知らずなギャップもあり、たまりません。

　対となる将軍も魅力的。ひょうきんな女たらしと見せかけて裏で手を回す切れ者で謎に満ちています。分析力も高く、主人公を言い負かすことができる数少ない一人です。

　二人の関係が読み進めていく内に変わっていくのも物語の醍醐味と言っても過言ではないでしょう。

　シリアスファンタジーの言葉だけでは収まらない、緊張の展開と重厚な世界観。三人称でありながら各々の心情を察する描写が散りばめられているので様々な面から楽しむことができます。推しキャラが亡くなることもあるので、そういうのは苦手という方にはおすすめできませんが、よりリアルに感じることは間違いなし。

　私はこの物語に出会えて幸せです。ぜひ彼らの選択した未来を楽しんでほしい、噛みしめてほしい。そう強く願います。