【022】除夜の鐘、人魚は今年も泡になる。愛しい人に会いに行く。

お金欲しさに自らの鱗を街へ売りに来た人魚の娘。そんな彼女が、川で溺れかけていたお坊さんを助けるところから物語は始まります。


初めは欲のないお坊さんから色々なものを搾り取ってやろうと画策する人魚ですが、人道に生きるお坊さんのひたむきさに触れ、年を経るにつれ惹かれていきます。

この人魚ちゃん、とにかく可愛いんです。欲にまみれているのですけれど、ちょっと世間知らずでズレているので憎めないというか。そういう部分を説法で鍛えたお坊さんの包容力がうまくカバーしていて、お似合いだなとニヤニヤしてしまいます。

それから二人のやりとりというか、すれ違いが面白くて、何度も笑いました。このすれ違い、毎度流れは自然なのにインパクトがあって、作者さんの力量が窺えます。


欲とはなにか。愛とは、生きるとはなにか。

人魚の願いとお坊さんの徳が織りなす新感覚の異類婚姻譚。

おすすめです。

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