第6話 医務室 ①

3限目の選択科目に友香と一緒に出席して、履修登録を無事に済ませた。


今日は無事に終わった〜?


「ねぇっ、返事は?」


まだ終わってなかった?無事では無かった!

相変わらず僕の左腕にしがみつくようにピッタリとくっつく友香。


「ここじゃぁ何だから、場所変えない?」


歩き出そうとしたところで、僕のスマホが震えだした。

知らない番号だったが、恐る恐る出てみる。


『もしもし、渡会さんでしょうか?』


「そうですが?」


『教務課の佐々木と言います。お手数ですが、先程の医務室までご足労願えますか?』


教務課?いゃ〜な予感がするので拒否したいのだがそうもいかないんだろうな?

あ〜、仕方ない!


「わかりました、直ぐにお伺いします。」


通話を終了し、軽く溜め息。


「どうしたの?」


「ん!呼び出し?教務課の人が医務室まで来いって。」


「よしっ、早く行こっ!」


当然のように一緒に歩き出す友香。

まあ、一人で行くと心細くなりそうだったから嬉しいんだけど、良いのかな?

でも、ますますしがみつくようになって歩きにくいんですけど?


医務室の扉の前で、チョット躊躇。

僕の嫌〜な予感は良〜く当たるんだな?

今回は外れてほしいな〜


軽くノックして、返事も待たずに扉を開ける。


「失礼します、渡会です。」


室内には、さっきの白衣の美人職員と男性一人と、何故か警察官が。


「佐々木です。午前中の救護措置について事情を聞きたくてお呼びしました。」


ろくに挨拶もせずにいきなり用件かよ!と思ったものの、勿論口には出しません。


「渡会さんが、女性をいきなり突き飛ばして暴行しようとしたと通報がありまして……」


あ〜、誰が通報したんだよ!誰が!!

電話番号、書くんじゃぁ無かったよ!


「ですから、さっきから彼は貧血で倒れた学生を介護の為に運んでくれただけだと言って……」


「君は黙っていなさい!」


美人職員が話し出すと途中で威圧するように遮る教務課の佐々木氏。


「我が校には暴行魔は要りません。通報があった以上は処分が決まるまでは学内への立ち入りは禁止させていただきます。」


あ〜、此処にも居るんだ、人の話を全く聞けない輩が。

田舎だけの話かと思ってたんだけどな?


「友香、帰ろ?やってらんないわ!」


「待ちなさい!話は終わってない!!」


狂ったように叫ぶ佐々木氏。


「事情聴取が終わるまでは拘束させてもらいます!」


「誰の、何の権限でですか?」


「私の権限です!私の権限は絶対です!!」


キ○ガイですか、コイツ?

最初から録音アプリ起動しておいて良かった!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る