第3話 オリエンテーション ②

「ちょっとまってくれる!規則だからこれに名前と学籍番号記入してくれる?」


白衣の美女職員から引き止められ、規則ならと二人して記入を済ませる。

この用紙、電話番号欄が有るけど、書いたほうが良いんだよね?


「あと、貴方、オリエンテーション会場から此処まであの子をお姫様抱っこして来たのよね?見掛けによらず力持ちなのね?」


「はぁ、まあそうですかね?」


そりゃぁ、僕は見掛けヒョロガリ不細工な田舎者ですよ!と心のなかで毒付きつつ、曖昧な返事で済ませて、足早にオリエンテーション会場へと戻る傍ら、


「良かったら名前教えてくれる?私は友香。藤原友香ふじはらともかよ!」


唐突に、名乗る銀髪美少女。


へぇ?なんだ?ふじわらでなく。


素朴に、そう思った。


「僕は真成、渡会真成わたらいまさなり。」


断わる理由もないので、素直に答える。


「渡来君、彼女居るの?」


走りながら、何の脈略も無く聞かれた。


「ふへっ?」


変な声が出てしまった。


「居るのっ?居ないのっ?!」


「居ませんっ!彼女いない歴、年齢分な田舎者です!!」


強気に聞かれて、反射的に余分な事まで答えてしまう。


途端に、今まで冷たい感じの表情だった藤原さんは、パァーと明るい表情に一瞬だけ変わった。

直ぐに元の表情に戻ったので、もしかして気のせいだったのかなと思うほどの一瞬だった。


「良かったら、私達、付き合わない?」


「ウミャッ?」


益々変な声が出てしまった。

な、なんですと〜?


「どうなの?私では釣り合わない?」


ヨクワカラナイんですけど?

釣り合うも何も、それ以前に僕達初対面ですよね?

僕のダサい容姿からしたら、とてもとても美しい貴方とは釣り合わないと思うのは、否定しませんけど?


「ど・う・な・の!」


その美しい表情で詰め寄られると、怖いんですけど?女性に慣れてないので!


幸い?オリエンテーション会場まで戻って来たので、


「その話、後で良い?此処でする内容じゃぁ無いよね?」


「わかったわ、でも、逃がさないからね?」


逃げ出したい気持ちを抑えつつ再び列の最後尾に並ぶと、僕の左にくっ付いた藤原さんはガッチリと右腕を絡めて密着してきたのだった。


ドウシテコウナッタ?

ボクガナニヲシタッテイウノデスカ?

トコロデ、ボクノしょるだーばっぐカエシテ!

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