子犬を飼い始めました
ブライン様と結婚して早1ヶ月。衝撃の初夜を迎えた後、しばらく寝室を別にしていた私達。しかし、3日たった頃
「もう我慢できない!僕とオニキスは新婚なんだ、どうして寝室が別なんだ!今日から一緒に寝るから」
と宣言したため、すぐに一緒に眠る様になった。その後3日に1回のペースで愛し合っている。なぜ3日に1回のペースかって?
それは相変わらず大量に出血をするブライン様のお命を守るためだ。本当に殺人現場の様な部屋になってしまうのだ…
ただ、ブライン様は毎日愛し合いたい様で、宥めるのにいつも苦労する。それでもなんとか新婚生活を楽しんでいる私達。
今はブライン様は公務中なので、1人中庭でティータイムだ。なんだかんだ言ってお義母様もお忙しい様だし、ブライン様もいないし、暇ね…
こんな時は、お兄様の家のフワリと遊びたいわ…
ついそんな事を考えてしまう。そうだわ!王宮で犬を飼えばいいんだわ。
「王太子妃様、何を企んでいらっしゃるのですか?」
すかさずマリンが話しかけてきた。企んでいるだなんて、人聞きが悪いわね。
「別に企んでいないわ。ただ、こうやって1人の時間も多いでしょう?だから、子犬を飼いたいなって思って」
「また王太子妃様はその様な事を…いいですか?子犬は生きているのです。可愛いからだけで飼っていいものではありません」
「あら、私、きちんとお世話をするわ。散歩だって連れていくし。そうと決まれば、すぐにブライン様にお話をしないと!あっ、その前にお義父様とお義母様に、確認を取らないといけないわね」
もしかしたら、お義父様やお義母様は犬が苦手かもしれないし。
「オニキスちゃん、ここにいたのね。一緒にお茶をしましょう」
この声は、お義母様だ。ちょうどいいところに来てくださったわ。
「はい、もちろんですわ。あの、お義母様、早速お願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんよ。どうかしたの?」
優しく微笑んでくださるお義母様。
「あの、私、子犬を飼いたいと思いまして。兄の家で子犬を飼っているのですが、とても可愛くて。もちろん、お世話は私がしっかり行いますわ。ですから、その…」
「まあ、素敵じゃない!実は私も、前々から動物を飼いたいと思っていたのだけれど、なかなか機会がなくてね。それにブラインは、動物に興味がない様だし。でもオニキスちゃんがそう言ってくれるのなら、ぜひ飼いましょう。そうだわ、犬用のお家も準備しないと。それから、トレーナーも雇わないとね」
どんどん話を進めていくお義母様。
「あの…お義父様に相談しなくても良いのですか?」
「問題ないわ。あの人も動物は好きだし。一応夕食の時に話しをしましょう」
お母様の言葉通り、お義父様は
「子犬か。それはいいな。ぜひ飼おう。私は大きくてフワフワした犬が飼いたいのだが、オニキスはどんな犬がいいんだい?」
と、快く受け入れてくれた。
「私もフワフワの毛並みの犬がいいですわ」
「そうか、それじゃあすぐに、子犬を迎え入れよう。それから、子犬が快適に過ごせるよう環境を整えないと。躾は大事だから、トレーナーも雇わないとな」
どんどん話が進む中、私たちの話に水を差したのはブライン様だ。
「ちょっと待って下さい。僕は犬なんて興味がないです。それに僕の可愛いオニキスに飛びついたり顔を舐めたり抱っこされたりするなんて、耐えられない!オニキスは僕のものだ」
そう言って私を抱きしめたのだ。さらに
「オニキス、僕がいるのにどうして犬なんて欲しがるんだい?もしかして、僕の愛情が足りないのかい?やはり3日に1回愛し合うなんて足りないんだ。今日から毎日愛し合おう。大丈夫だよ、止血剤は大量に準備してあるからね…」
タラリと鼻血を垂らしながら、ブライン様が訴えてくる。すかさずブラン様の鼻血を拭いた。
「ブライン、また気持ち悪い妄想をして!別に子犬くらいいいではないか。これは国王としての私の決定事項だ。お前にとやかく言われる筋合いはない」
「それならその子犬を、オニキスに絶対に触れさせないで下さい!いいですね」
「そんな…ブライン様、子犬を飼いたいと言い出したのは私です。どうか私に、子犬のお世話をする権利を与えて下さい。お願いします」
ブライン様の顔を見て、必死にお願いする。
「くっ…そんな可愛い顔でお願いするだなんて…分かった…その代わり、犬はメスを飼う事。分かったね」
「ありがとうございます、ブライン様」
こうして無事、子犬を飼う事が許された。そして数日後、白くてフワフワした可愛らしい子犬がやって来たのだった。
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