第322話 人類の行き着く先と一口餃子とタカラ発酵蒸留サワーと

「おぉ! 宝酒造のであるか!」

「宝酒造のなりぃ!」

「そうね! 宣伝する気なんて全くないんだけど、宝酒造のね!」

 

 私達はこの前発売された宝酒造の新商品を前にして少しばかりテンションを上げているわ。宝酒造と私たちの並々ならぬ関係性があるわけじゃないんだけど、正直おじさんのお酒、擦り切れたサラリーマン御用達のお酒というイメージの強い宝酒造なのに……

 

「3%の焼酎ハイボールなのであるな……信じられぬである」

「勇者、もっとイカついの作って欲しかったー」

「まぁ、言いたい事は分からなくはないわ。なんか、アサヒスーパードライのライトが出た時はなんかファッショナブルで、新ブランド感が強いのに、なぜか宝酒造がライトなお酒を出すと昔のファッションセンター“しまむら“感あるのよね」

 

 ※しまむらさんは今では日本の一つのブランドとして安価で素敵なデザインの服が最近は多いんですが、少し昔はどこをどうしたらこんなデザインになるんだって超だっせー服しか売ってなかったんだ。信じられるか?

 

 いや、いいのよ! 宝酒造が時代のニーズにあった酔わないお酒を作るのも! でもさー宝酒造のお酒を手に取る時って酔いたい時じゃない? とか宝酒造ファンの私はそう思うのよ。というか、宝酒造が3%のお酒を出しただけで、私とデュラさんと、そしてミカンちゃんまでディベートが始まるってそういう事でしょ!

 

「この酒を飲むとなると、おつまみは下町にあるような大衆居酒屋系の物が良いであるな? さっと食べて炭酸系にも合う物……一口餃子でも作ってみるであるか? 丁度、すき焼き用の鉄鍋もこの前我、買ったであるからな!」

 

 聞きました奥さん? これが異世界のデュラハンの言葉ですよ。そう、デュラさんはミカンちゃんの動画サイト内のお料理コーナー。デュラさんの魔王軍レシピで再生数を稼いでミカンちゃんからお給金をもらってるのよね。大概、料理の材料や道具なんかを買い揃えているんだけど、まぁ凄いわよ。低温調理器とか買っちゃってるもん。

 

「うおー! 勇者、餃子ちょー好きー!」

「じゃあ、発酵蒸留サワーでちびちびやりますか」

 

 ガチャリ。

 

「貴様ら! 黙って聞いていれば宝酒造の文句ばかり言いやがって! 何様のつもりだ!」

 

 さぁ、誰かしら? 人の家に入ってくるなり、怒鳴ってくる輩は……私が玄関に迎えに行くとそこには、黒髪、きめ細かい薄ら黄色の白い肌。瞳は大きく本当に真っ黒。手足の長さもモデルのようで、人種も不明、ただただルッキンズムに対して一つの答えを出しているかのように完成された美ね。

 

「貴女は? 私は犬神金糸雀。この家の家主よ」

「知ってる! 私は佐藤TYPE2型フラワーチャイルド6624。まぁ、簡単にいえば未来人よ」

「えっと……人間なんですか? あの、佐藤さん」

「はぁああ? これだから原始人は……見てごらんなさい! 私のこの容姿……あなた達、原始人とは遺伝子レベルで……金糸雀も結構綺麗な顔してるわね。目つき悪いけど。私は人間の行き着く先だよ。これ以上、遺伝子操作ができない最終個体だ」

「あはは、なんかありがとうございます。それと喧嘩売ってます?」

 

 そんな佐藤さんを私は連れてリビングに行くとミカンちゃんが頭の上に後で読むであろう続刊の漫画を載せて、器用に第一巻を手に持って読んでいる姿だったわ。

 

「何あれ修行?」

「さぁ、ミカンちゃんのやる事は謎な事が多いですから、とりあえず上がってください。デュラさんが一口餃子作ってくれているので、一杯やりましょう」

 

 デュラさんを見て佐藤さんが……

 

「1000年以上前の文献にあった首だけ騎士か……実在していたなんて歴史がひっくり返るぞ……」

「えー! 佐藤さんって何年後の未来からやってきたんですかー。てか何しに原始人の家にきたんですかー?」

 

 私のプチ煽りに対して、佐藤さんは真剣な顔をしてこう言ったわ。

 

「一万年後の未来の地球から来た。ここにはお酒を飲みにな。流石に5%以上するビールは危険だが、ここはやはりせっかく過去の規制が少ない地球だから、高濃度アルコールの3%のお酒。2000年以上前に禁止薬物となってしまった。宝酒造のタカラ発酵蒸留サワーをと思ってな」

 

 えぇええ! 宝酒造一万年後もあるの! すげぇ! でも3%が高濃度って地獄みたいな未来ね。とはいえ、酒飲みストがわざわざ未来からやってきたんであればおもてなしするのが私よね。

 

「じゃあ、せっかくなので飲んで行きなさいよ」

「謹んで、お招きお受けしよう」

 

 その話を聞いていたミカンちゃんとデュラさんもリビングのテーブルに集合。熱々のすき焼きの鉄板にびっしりと一口餃子が焼かれているのが食欲をそそるわね。グラスに氷を入れて、タカラ発酵蒸留サワーのクリアを注ぐわ。

 

「宝酒造のハイボールはまさに日本初のハイボール。要するに焼酎ハイボールを完全に再現していると言えるわね。日本原初のハイボールを! 恐らくは最後の日本人である佐藤さんと! 乾杯!」

「あぁ! 日本人が地球の人間文明の原初だと証明されたのはこの時代から二千年以上後だったか? 乾杯!」

「乾杯なりぃ!」

「乾杯であるぞ!」

 

 なんかサラッと凄い言わなかったかしら? でも、このタカラ発酵蒸留サワー。

 

「えっ? これおいしくない?」

 

 いや、うん。いつものタカラ焼酎ハイボールが不味いというわけじゃなくて、あれは凄い無骨な味がするわけだけど、これはちょっと若もの向けに作ったわね。

 

「ぷひゃあああああ! うみゃああああ! おかわりイィいい!」

「おぉ、うまいであるな! お代わりである」

 

 そう、そのかわり最初の一本飲むのに10秒かからないわね。そんなタカラ発酵蒸留サワーを佐藤さんは……

 

「はぁあああ! きっつうううう。でもおいし!」

 

 3%でもきついんだ。そりゃあアルコールだもんね。憂慮遺伝子を変えて生き続けたらアルコール代謝能力とか落ちそうようね。

 

「佐藤殿。一口餃子も美味いであるぞ! さぁ、熱い内に」

「ありがとう。いただきます」

 

 ミカンちゃんは一口だって言ってるのに、4個くらいいっぺんに食べてるわ。

 

「んまー! んまっ! 餃子つよつよぉおお! かなりあお代わりなり!」

 

 数分で3本。やっぱり低アルコールは美味しいけどコスパ悪いわね。デュラさんも遅れて3本目。

 

「ふぅ、じゃあ私も」

 

 5本目。あっ! 私が一番飲んでた。そんな私たちを信じられない目で見ているのが佐藤さん。

 

「お、お前達! アルコール中毒で死ぬぞ!」

「私たち平均すると普段この四倍くらいの度数のお酒を飲んでるから、3%は飲んだらそのまま代謝されるレベルかもですね」

「げ、原始人ぱねぇ! あっ、この一口餃子って食べ物。めちゃうまい。デュラさん、料理上手だな!」

「照れるであるな! どんどん食べて欲しいであるぞ」

 

 本当にちびちび飲んでるので佐藤さん、一本飲み切れるかわからないレベルね。まぁ、でも本来のお酒の飲み方というか付き合い方ってこうあるべきだと宝酒造も考えてこのタカラ発酵蒸留サワーを作ったのかもしれないわね。

 まぁ、多分私たちには永久に理解できない概念なんだろうけど……一口餃子を食べ終わり、赤い顔で水を飲んでいる佐藤さんが一本完飲。私が15本、ミカンちゃんが22本。デュラさんが10本。低アルコールの問題点その2。恐ろしく缶が散らかるという事ね。

 

「金糸雀、勇者。デュラさん。世話になった。過去の時代も良いものだな。今度来るときは……5%に挑戦してみたいと思う」

「是非! なんかまた用意しておきますよ。お土産にお酒持って帰りますか?」

「ダメなんだ。時空関で没収される。じゃあまた」

 

 さようならと私たちはお別れしてリビングに戻ると、耳の長い美人となんらかの勝利を司る美人が座っているので深いため息と共に宝酒造の4Lペットボトル焼酎を取り出すと令和のサワーでもてなす事にしたわ。

 

 それにしても日本が人類の起源だったとはね。

 

 

 ※まだ仮説レベルですが欧米系の人類学者達が人類は日本(ムー大陸)から来たという説を唱えている人々が昨今増えてきました。日本人がそもそも大陸系にも属さない遺伝子情報を持ち、日本の神話の海外の類似性、また遺跡レベルの異常すぎる古代文明レベル等、頷ける点は数多く見つかっています。海外で見つかっていない聖櫃ですが、日本に存在していたり謎が本当に多いですね。私たち、日本人ってどこからきたんでしょうね?

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