【文屋治詩集】

文屋治

【日暮詩】

ひぐらしは鳴き始める

己の内でうごめく鼓動に

産み落とされた未知の世界に

恐怖しながら


まだひぐらしは鳴き続ける

四六時中雌を追い求め

底知れぬ欲に

突き動かされながら


そしてひぐらしは鳴き終える

必死に鳴いてやり遂げた

生涯の最期を迎える

其の瞬間に

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