第12話 9/3

 家へ戻ってきた。台風のせいかまだ雨が降っている。けれど、ホームに帰れてほっとした。家の整理やキャリーバッグの中も少し片づける。またすぐに本州へ行かなくてはいけないが。

 手術するのが怖くて、何度も電話するのを躊躇ためらい、夕方にやっと架けた。長い保留音の後に受付の女性が出て、脳外科に繋いでくれる。

「ああ、藤田さん? どうされました」

 診察してくれた担当の先生が出てくれた。

「手術、しようと思います。一番早いと何日になりますか」

 私は覚悟を決めて、そう尋ねる。

「そうですね……9/13はどうですか」

 想定より早い日にちを提案され、少し焦る。船の入出港のスケジュールをカレンダーで確認しながら返事をする。

「それだとちょうどそちらに船が着く日なので、他の日はどうでしょうか」

「じゃあ、9/20は」

 早い日時を提案されるのは、それだけ私の症状が切迫しているからだろう。

「じゃあ、それでお願いします」

「分かりました。入院は一日前なので19日に来院して下さい。詳細は看護師が案内するので、そちらで説明を聞いて下さい」

 私は分かりましたと答え、入院する為の持ち物、手術時間、日数、費用や諸注意等の説明を受けた。

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