自由について(解放ということ)

 わたしにとって自由とは、確かに解放かもしれない。


 呪いのように打ち込まれた楔を一つずつ抜いていった。大人になってから。それは、母から打ち込まれた、「あなたのためを思って」というラベルのついた楔。或いは、身体にこびりつくガムテープのようなもの。わたしはぎゅうぎゅうに埋め込まれた楔をぐいぐいと抜いたり、身体にこびりついたガムテープ状の呪符をべりべりと剥がすのだ。

 

 自分はどうしてこんなに生きづらいのだろう?

 羽ばたくために、わたしをそこに留めているものを探して、抜く。或いは剥がす。

 自分はどうしてこんなに苦しいのだろう?

 ああ、このせいだ、と呪いの楔を手にする。或いはガムテープ状の呪符を。


 もっともっと、自由にいきたい。


「結婚しないと不幸だ」とか「子どもがいないと不幸だ」とか。

「専業主婦じゃないと駄目だ」とか「節約をしなくて駄目だ」とか。

「贅沢してはいけない」とか「貰えるものは貰わなくてはいけない」とか。


 苦し過ぎる。

 それ、全部わたしの思考じゃない。

 ただの、呪い。


 

 考えろ。

 思考しろ。

 そうすれば、もっともっと自由になれる。


 こころの中のものを、全部見よう。

 蓋をして鍵をかけておくものは、そうしておこう。

 でも、ときどき見て確認しなくてはいけない。


 あらゆることは「なかったこと」には出来ない。出来ないんだ。

 わたしはすべて、ちゃんと自分の目で見て、全て受け入れていきたい。

 そうしないと、ちゃんと自分の足で立っていられないんだ。


 血潮が噴き出すことも、ぜんぶ。ぜんぶ、ちゃんと見よう。

 ちゃんと見て、確認して。

 そうして、自分が、ほんとうに望んでいることを、ちゃんと考えよう。イメージしよう。



 わたしはやっぱりどうしても、自由でいたい。

 何ものにも縛られたくない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る