第6話 いざ、異世界へ



 両親を説得した日から、更に1ヶ月が経過した。この間に起きた事をダイジェストで説明しよう。



 両親の説得を終えたあと、父さんの協力により、ロタ7による資金調達を開始する。

 あっさりと大量の資金を獲得したので、食糧物資を大量に購入した。生活必需品や電化製品等は、創造で作り出したから実質タダである。


 その間に度々修行も挟んでいたし、レベルも今では一億に達したから大丈夫だと思う。限界レベルから考えられる異世界人の強さは300~1000と考えられるからだ。


 上限突破で300の壁を越え、限界突破で1000の壁を越える。さすがに極限突破の10000越えの猛者は居ないと思いたい。一応、念のために一億まで上げてはいるけど。チラリと自分のステータスに目をやる。



カケル・アカギ

人族 16歳 男性

職業 昼行灯改


LV 110000000

HP 10000027000

MP 7890000001150


力  980000000+1150

体力 980000000+1150

速さ 980000000+1150

知力 1550000000+1150

精神 1340000000+1150

魔力 7890000000000+1150

運  9980000000+11100


スキル

創造

神眼(鑑定、心眼、各種魔眼を統一)

ストレージ

概念操作

上限突破、限界突破、極限突破、究極突破

スキル向上、スキル上昇、スキル重複、スキル強制消去

手加減、身体制御、身体操作、精密動作、高速飛行

演技、交渉、魅力、料理、世界地図

未来予測、未来予知

怪力、剛力、金剛力

頑強、剛体、金剛体

俊足、瞬足、韋駄天

知恵袋、博識、秀才、天才

集中、忍耐、明鏡止水

魔力増大、魔力泉、魔力タンク

ラッキー、幸運、豪運

原始魔法(火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、氷魔法、光魔法、闇魔法を統一)

身体強化魔法、空間魔法、次元空間魔法、結界魔法、天候魔法、魔法合成

魔力操作、MP自動回復、HP自動回復、MP二倍、HP二倍、魔力吸収

武王(剣術、槍術、格闘術、弓術、鞭術、投擲術、鎌術、暗殺術を統一)

鑑定無効、隠密、隠蔽、気配遮断、魔力隠蔽、盗聴無効、神眼無効、視線感知、空間把握、思考加速、高速思考、並列思考、生命索敵、魔力索敵、緊急回避

状態異常無効、全属性無効、即死無効、無効貫通、神殺し、神気、神貫通



称号

女神に嫌われた者、賢者、大魔導士、剣聖、槍聖、拳聖、弓聖、鞭聖、投聖、神殺し、理を壊す者、創造者、闇を照らす者




 強さがインフレしてる漫画みたいになってきたけど、それでも異世界に対する不安は拭えない。クソ女神も敵対する可能性がある以上は、まだ足りてないんじゃないか?と不安になる。

 根拠として、ステータスの上限がまだ見えないことや、表示がバグったり、進化を促すようなアナウンスが無いなど、テンプレ展開が無かったのでこんな事ばかり考えてしまう。


 駄目だ。思考がネガティブになってるな。そうだ!壁に当たれば向こうで強さの調整をすればいいじゃないか。思い直して行動を再開する。


 物資等を全てをストレージに入れて、出発準備が完了となる。母さんは未だに納得がいってなかったけど、異世界間でも連絡がつくようにした創造スマホを渡した。勿論、父さんにも渡してある。これで少しでも安心できればいいけど。





「じゃあ行ってくるよ。たまには帰ってくるから。それに誰か保護する度に戻ってくるだろうしね」


「気を付けていっておいで。ただし、命を粗末にするような行為はしないようにな」


「母さんは行ってほしくないけど、かけるが決めた事だからね。無理はしないようにするんだよ?」


 両親に出発の挨拶をする。今日が出発の日だからだ。無理はしないと決めてある。クラスメイトは救うつもりだけど、命あっての物種だし、命を賭けてまで無理するつもりはない。



 異世界への転移は俺の部屋でするから、まだ家の中だったりする。靴を履いて魔法を唱える。



「次元空間魔法『次元転移』」



 空間魔法では越えられなかった壁を突破する、次元空間魔法を唱えた。眩しい光に包まれて、異世界に転移していく。最初の目的地は、本来俺が行く予定だったトキオ砂漠だ。






「ここがトキオ砂漠か?いつもの砂漠とは少し違うみたいだ。確かに異世界っぽいな」


 いつも練習で使っている砂漠と違い、周りには一軒家サイズのサボテンが何本もあった。あれって魔物じゃないよね?


 異様な風景に、直ぐにここが異世界だと改めて思った。何処か危機感を感じることを忘れている。平和ボケの日本人には難しい感覚だな。


 索敵を使い周辺を調べたが、特に反応は無し。小動物も居ないのか?改めて此処に飛ばそうとした女神に苛立ちが募る。


「٠٠٠あまり良くないな。少し落ち着こう。千里眼でこの辺りを調べるか」


 千里眼の効果はその名の通り、4000Km程の距離まで調べる事が可能だ。もしかしたらこの世界のスキルと、俺のスキルは同じ名前でも効果が違うかもしれない。1里の単位も違うかもしれないし、そもそも存在しないスキルかもしれない。



 想像してた通り、付近には何も無かった。正確には魔物や魔族らしき反応はあったけど、どちらも友好的じゃないと聞いていたので接触は無しだ。


 いずれ魔物は倒しに行くし、魔族は本当に敵対種族なのかも調べるけど、今は先に近くの国に行くべきだと判断する。


世界地図ワールドマップを使ってと٠٠٠おぉ、結構離れてるなぁ。仕方ないか、トキオ砂漠が広すぎるんだよな」


 世界地図スキルは、世界中の場所を調べて見る事が出来るスキルで、視界に世界地図が表示されるようになる。他者に見せることも、見せないことも可能だ。スマホのマップ機能に近い性能がある。地球でも異世界でも対応するようにした。

 現在地を確認するとサハラ砂漠並みに広いことが判明。遥かに遠いけど一番近くにある隣国を調べた。


「隣の国はロックガーデン王国ね、飛んで行けば四時間ぐらいかな?」


 スキル高速飛行を使って大空を駆けていく。高速飛行は魔力を使って飛ぶスキルだ。使用するMPの消費量で速さが変わる。消費MPを9割減らす指輪があるし、MPの自然回復量が上回ってるから最大速度で飛んでも大丈夫だったりする。


 途中で魔物を何度か見つけたが無視して飛び続けた。




「おっ!ようやく見えた!あれがロックガーデン王国か。サボテン以外で久しぶりに見る緑色だな」


 ずっとトキオ砂漠の景色ばかりで飽きていたけど、緑がポツポツと見えてきた頃には、大きな壁と要塞みたいな城が遠くに見えた。


「確か転移先に、この国の名前もあったな。誰が選んだかわからんけど」


 この国に転移したのなら、城に保護されている可能性が高い。まずは隠密系の全スキルを使って上空からロックガーデン王国に入っていく。そのまま城に突入してもいいけど、隠密系のスキルを看破したり、察知するようなスキルや魔法があるかもしれない。危険は侵せないので、まず情報を集めることにしている。


 街の裏通りっぽいところに降り立つ。この国の一般人に見えるように、創造でこの国の平民っぽい服を作って着替えた。


 スキルを解いて、表通りに出て情報を集めに行くことにした。世界地図で冒険者ギルドや、商業ギルド等があるのは確認済みだ。暗殺ギルドってのもあったけど。


 こういう時は冒険者ギルドだろと思い、ワクワクしながらギルド前に到着。あ、そういえば言語は通じるのだろうか?話してみればわかるか。駄目なら言語理解のスキルを創造しよう。


 テンプレ展開に期待しながらも、中にはあまり人が居なかった。具体的にはカウンターにいる受付嬢が一人だけだ。ちなみに若いお姉さんではない。

 テンプレが無く、少し寂しく思いながら、カウンターに行って話しかけてみた。


「すみません、ちょっといいですか?」


「はい。どうしましたか?」


 どうやら言葉は通じるようだ。受付嬢の口の動きから日本語ではないようだけど、女神パワーで通じるみたいだ。


「情報が知りたいんですけど、そういうのってここで教えて貰えたりしますか?」


「はい。こちらでも情報を取り扱っておりますよ。ギルドカードはお持ちですか?なければ理由を説明させてもらいますが?」


「いえ、持ってないので説明をお願いします」


「お持ちでないと、それでは説明させてもらいますね」



 受付嬢さんが言うには、冒険者ギルドに登録した者にしか、情報の売買ができないらしい。更に情報によってはランク制限もあるのだとか。情報次第で値段も上下するそうなので、登録して高ランクになるのがオススメらしい。


 あまり目立ちたくは無かったけど、逆に目立つ事で相手側からの接触もあるかもしれない。クラスメイトが俺を頼るようなことがあればだけどね。

 まぁどうとでもなるかと思い、受付嬢さんに登録する旨を伝えた。


 登録用紙を出してきて、それに名前と年齢に職業、それとスキルを書いてほしいと言われたので、適当に書いていく。日本語だけど、これも女神パワーでいけるか?出してみればわかるか。


 途中で書きたくないものは、別に書かなくてもいいと言われた。もう書いちゃったんだけど。適当だしいいかな?


「カケル、16歳、魔法剣士、火魔法ですね。間違いないですか?」


「はい。間違いないです」


 受付嬢さんは読み終わると、内容を確認してきた。どうやら日本語で大丈夫みたいだな。

 それよりも、周りに誰も居ないからいいけど、人の職業とかスキルを言うなよな。ここのルールでは言うことがデフォかもしれないけどさ。気になるから後で聞いてみよう。



「それでは今日から冒険者です。まず初めは銅級からスタートになります。昇格すると銀級、金級、白銀、白金と上がっていきますので、頑張って下さい」


「わかりました。あと質問なんですが、職業とかスキルを口に出しても大丈夫なんですか?」


「国によって変わりますけど、ここでは登録の際に周知することで、パーティーの勧誘をしやすくするようになってますね。単独で冒険者をするのは自殺行為ですから」


「どうして単独だと自殺行為になるんですか?」


「もしかして٠٠٠あまり外の状況を知らないんですか?この周辺の魔物は高ランクが多く、駆け出しの冒険者はパーティーに加入するか、ギルドの訓練場で一定のレベルになるまでは街の外に出ないんですよ?」


「なるほど。理解しました」



 そういえばこの国はトキオ砂漠の隣にあるんだから、考えてみれば強い魔物ばかりが生息してるってわかるよな。索敵による反応だと、俺よりも弱かったから気付かなかった。


 その後、情報の料金を聞いてみたところ、最低でも銀貨一枚からだと言われた。この世界の貨幣単位とか知らないんだけど。ついでに聞いてみるか。


「あの、俺って家で家事しかしてなかったから、買い物とかしたことないんです。通貨の事が解らないんで教えて下さい」


 演技スキルを発動しながら、何か事情があるんですって表情で聞いてみた。


「何か深い事情でもあったんですね٠٠٠いいですよ。この国で使ってるのは共通通貨と呼ばれる物で、銅貨、銀貨、金貨、白金貨となってます」



 受付嬢さんから大体の通貨の価値を聞いたところ、銅貨一枚でパンが買える。銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で金貨一枚、金貨は百枚で白金貨一枚となるらしい。共通通貨以外の国は無いけど、国を形成してない地方によっては、物々交換が主流だったりするそうだ。




「カケルさん頑張って下さいね。情報は情報屋でも商業ギルドでも扱ってますが、扱う情報の種類によって精度が変わります。お金は掛かりますが、複数で聞いてみたほうがいいですよ」


「色々とありがとうございました。お金を持ってまた来ますね」



 こんな年下の小僧相手でも丁寧に教えてくれたので、受付嬢さんに心からのお礼を述べてギルドを出た。


 とりあえず金策かな?と思ったので、近くにある武器屋に入って商品を見てみる。他にも客がいたので、店員はそちらに気を向けている。

 話し掛けられる前に、武器を一通り鑑定して見たので店を出た。裏通りに移動して、周りを確認してから先程の武器を一通り創造してみる。


「鉄のショートソードに鋼鉄のロングソード、ウォータイガーの短剣、ファングボアの槍ね」


 金属以外にも魔物素材を使った武器もあった。それらをストレージに入れて、さっき行った店以外の武器屋に向かう。武器屋には無愛想な中年がカウンターにいるだけだ。ここは流行ってないのかもしれない。



「おっちゃん、武器を売りたいんだけど、ここで売れますか?」


「あぁ、武器の買い取りもやっている。物によるがな。見せてみろ」


「これなんだけど、いくらで買ってくれる?」



 ストレージから先程の創造した武器を取り出して、カウンターに並べていった。おっちゃんは取り出した時に少し驚いていたけど、並べた武器を真剣に見だした。


「あまりに綺麗すぎる。こりゃ盗品か?盗品なら買い取りしないぞ」


「いや、仕入れをミスった商人から安く買えたんだよ。在庫を余らせるぐらいならってね」


「フン、そういうことか。なら全部で金貨14枚と銀貨8枚ってとこだな」


「それでいいよ。ありがとう、おっちゃん」



 武器屋のおっちゃんに礼を言って、次は宿屋に向かった。一応、拠点としてキープしておく。寝るときは実家の部屋に帰るけどね。


 創造したばかりの武器は綺麗過ぎたそうだし、武器屋での金策のやり方はもう使えないかな?と考えながら、宿屋に到着した。世界地図で確認した中級宿である。名前は石壁亭というらしい。中に入って受付の男に声をかけた。


「ようこそ石壁亭へ。一泊食事無しで銅貨8枚、食事ありで銀貨一枚と銅貨二枚です」


「食事無しで三泊頼む」


 銀貨二枚と銅貨四枚を支払い、部屋に案内された。ベッドがあるだけの部屋で、お湯を用意するなら銅貨二枚だと言われたけど断った。


 宿を出て、楽しみにしてた異世界飯を食べる為に、世界地図で食堂を探すと、近くに酒場があるのでそこに向かった。この国には食堂だけをやっている店が無かったからだ。



 酒場に入って、看板娘っぽい可愛い女の子に案内されて席に着いた。可愛い女の子に注文を聞かれるので、少しドキッとした。


「お客さん何にしますか?今日のオススメはフラッシュボアのステーキですよ」


「じゃあそれを一つ。他にもオススメがあったらお願いします」


「は~い!でわ、私のオススメ持ってきますね」


 女の子は他の客からの注文も受けながら戻っていった。よくあんなに覚えられるな~。

 次の予定を考えながら待ってると、さっきの女の子が料理を運んできた。


「お待たせしました!フラッシュボアのステーキと、森キノコのスープ、それとパンです。パンはおかわり自由ですよ」


「おぉ、これがオススメか!美味しそうだな。ありがとう」


「お、おぉ~どういたしまして?こんなことでお礼を言われるなんて初めてですよ。お客さん変わってますね?」



 言いたい事を言って女の子は仕事に戻っていった。もしかして異世界あるあるで、あまり礼儀よく話すのは舐められるとか?周りを見て口調も変えないといけないかもしれない。


 どの料理も美味しかったけど、どうせなら米で食べたかった。ちなみにパンはテンプレ通り固かった。スープでふやかして食べたよ。


 食事をしながら周りの会話を聞いてたけど、皆フランクな話し方ばかりだった。勿論、王公貴族や商人は違うかもしれないけど、口調は砕けた感じにしたほうが良さそうだ。


 会計を済ませて、次の目的地である商業ギルドに向かう。



 今度は商業ギルドで金策をしないといけないからな。テンプレ展開を考えながら、商業ギルド前に着いた。





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