静かなドロップキック

 零れ桜が私の瞳を撫でる

 儚い濃紺の花あかり

 街灯すら喧噪に感ぜられた


 よはひせし 御簾の花屑 せみ生る


 数年前、私と彼は別れた

 横断歩道の零れ桜が私たちを隔てたのだ

 彼は静かな世界に行ってしまった

 車の警笛とともに


 今年も桜が零れる


 春が終わる

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