第五話 あれから、ずっと守ってくれてるよね


 そう、あの中二の突然の告白から三年が経つ。


 幸いにも海斗の足はその後大したこともなくて、一週間後には練習に復帰していたっけ。


 でも、あの時から変わったこともあった。


 あのあと、海斗は私との交際を正式に発表して、それに文句があるなら自分の方に言ってくるようにと、私に矛先が向かないようにしてくれた。


 あの怪我の間の私たちの様子を見て、私が彼専用の看護師だと言われるようになったのもその頃からだっけ。




 私たちはいま同じ高校に通えている。


 これも本当ならすごく大きな変化だった。


 もしかしたら進路の差で同じ高校に進むことができないかもしれない。


 そんな不安を話したとき、


「のぞみは看護学部がある大学の付属高校を狙ってるんだろ? 俺もそこを狙ってみようと思ったんだ。先生もまだ受験までは時間があるから、今からなら間に合うって」


「え? どうして? だって海斗はサッカーの道に進むんじゃないの? 確かに私の志望校にサッカー部もあるけれど、強い学校じゃないから、全国クラスの試合にはあまり縁がないと思うし……」


 私が何も知らないとは誰にも言わせない。海斗の実力なら強豪校のスポーツ推薦を受けることも可能だってことぐらい。


「だから面白いじゃないか。そんな高校が何年かかけて下剋上してみたら番狂わせだし。それにさ……、この間のぞみに世話になって気づいたんだよ。選手だけが道じゃないって」


「そう?」


「選手のリハビリスタッフだって重要なポジションさ。学校の部活じゃあんまり重要視されないけれど、プロスポーツだったら年齢に関係なくやっていける。俺はそっちを目指すように考えが変わったんだ。だから、高校と学部は違うけど大学ものぞみと同じところ目指すよ」


 理由がなく、私との仲だけを理由にしていたら反対していたかもしれない。でもそっか、そこまでちゃんと考えて決めたなら私に反対する理由はない。


「うん、それなら一緒に頑張ろう?」




 だから、私たちの中学三年生で、海斗はサッカー部と生徒会役員という二足のわらじを両立した上で受験勉強も重ねる努力をしたのは凄かったよ。


 もとから看護学部に行きたいと進路を決めていた私との学力差も、家が近いことから塾の後にもどちらかの家で一緒に勉強したことで少しずつ縮んで、そこに生徒会役員の実績も加わって……。


 推薦試験の結果発表日、海斗と私は一緒に呼び出された。


 その場で二人同時に通知を渡されたんだよ。


 『高校もその先も二人で頑張れ。おまえたちならできる』と。


 その頃には私たちの交際に苦言を言う人はいなくなっていたからね。


 前の年の怪我がきっかけになったかもしれないけれど、必死になって私に合わせてくれた海斗には、単に彼女だからという以上に感謝しているんだ。

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