第7話 その肉は美味しい
【EQ日記 7月31日 Halas】
KINGさんの最初の特訓が終了した。
友達鳥は氷巨人の城に出張中で不在なり。そろそろこの新顔連中のレベリングにも飽きて来たのだろう。友達鳥は友人のためになることを喜びと感じる人ではない。本人の言によるとそれは違うとのことだが。
状況は大体予想通りだったが、少し違うのは怪物キャンプになど行く必要はなかったということだ。
KINGさんが出ていくだけで、エバーフロスト峡谷中の怪物という怪物が集まってきた。まさに息つく暇もないというのはこのことだ。
前から右から後ろから、ガウガウとうなり声をあげる熊に、ゴブリンにノール。おまけにキル・スチーラーまで集まってくる。
それだけではない。「恐るべき」骸骨までわらわらと集まってくる。
これはレベル8か9程度の弱い骸骨だが、そもそもここは初心者の練習場だということを考え合わせれば明らかな強敵だ。
さすがにこいつは、レベル11のパラディンキャラのわたしが殺す。
死体からページ74と75を発見。ページとは何かの本の切れ端で、ゲーム上では何の得もないアイテムだ。でもこれが出たからと言ってのんびりと読んでいる暇がない。
死体が周囲にうず高く積もっているのだが、KINGさんにはルートする暇もない。
(ルート:倒した死体から戦利品を集めること)
こんなに怪物が集まって来るなんて、いったい何が起きているのだろう?
よっぽどKINGさんの肉は美味しいのだろう。そして怪物たちは、それを知っている。
今度KINGさんが死んだら、ちょっとだけ、そう、ちょっとだけ、つまみ食いしてみようっと。
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