(一)-2

 私たちは交差点でわざと立ち止まり、その男子生徒がやり過ごした。そしてその生徒のあとからついていく格好で再び歩き始めた。

「ホント、あいつ、何考えてるかわかんないよね。キモイ」

 歩きながらミコトはそう言ったが、それはちょっと言い過ぎな気もする。でも、あの男子生徒に対するこの学校の女子生徒たちの反応は、概ねミコトのそれと共通していた。

 そんな彼のそばに、横断歩道を渡ってきた金髪碧眼の男子生徒が近づいてきて、「よう、スグル。あの爆発、おまえんちじゃね?」と声をかけた。

 私たちが直接聞けなかった肝心な問題について、ストレートに質問してくれた。スグルはあの爆発の原因でもある「ホーキンス博士」と呼ばれるマッドサイエンティストの息子なのだ。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る