第25話その行方

人影はどこにもないよう


人という人は僕だけを取り残し


どこに旅立ったのだろう


偉大なる自然の静寂の中


僕は緑に抱かれている


最近では旅立ったであろう


人々の影を思う事も少なくなった


絶望に苛まれることもなくなった


僕はまるで緑の一部となったように


穏やかに世界を眺めていた


どれだけの月日が流れた事だろう


もう時を指し示す物を僕は失っている


知る必要もないようだ


ただ今でも考える


人という人は誰を取り残し


どこへ流れていったのか


そしてどこに辿り付けたのか


汚れた空気がいつものように流れている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る