第64話 ダンジョン情報
五十四日目
俺とアイリーは、冒険者ギルドに来ている。目当ては、ダンジョン攻略の募集掲示板だ。Dランク、レベル30以上になればダンジョンに行く、とかねてより聞いていたためだ。
募集依頼内容を見る限り、一階層スタートというのがない。塔型ダンジョン3階層、5階層、11階層からという募集がある。そもそも俺たちが、階層を選べるんだろうかという話だ。
ファリナは新規登録の受付で、新人たちの受付をしており、忙しそうだ。他の受付嬢に聞いてみるか。俺は顔なじみというより、例の蜂蜜のお兄さんと俺を呼ぶ嬢のところへ出向いた。
「ダンジョンについて知りたいのだが」
「ええ、どんなことが知りたいのですか?」
「いや、まったくの初心者だ。場所に、階層、魔獣の事、一から知りたい」
「それでしたら、二階に資料室があります。ベルンさんたちは文字を読めますよね」
「ああ、読めると思うが、そもそも本を読んだこともない」
「そうなんですか?博識な印象だったのですが」
「悪いな、博識なんて俺が自称できるわけがない」
「へえ、見た目に寄らず謙虚な方なのですね」
「・・・それは、謙虚そうに見えない顔と云う意味だよな。顔のことはいい、ダンジョンの事だ、二階に行けばいいのだな?」
「ええ、どうぞ、二階の資料室に担当がいますので、そこで尋ねるといいですよ」
ありがとう、と嬢に伝えて、ニマニマされながら、アイリーに二階の資料室へ行こうと誘った。
冒険者ギルドの二階に上がるのは、初心者講習会の時以来だ。同期の奴らは元気に続けているのかな。ふと思った。名前も覚えていない。覚えているのは10人ほどいて、パーティに誘いあったりして、二つあったことくらいか。
まあいい。
資料室へ入った。資料室の受付にいた女性に、ダンジョンの初心者向けの資料を頼むと告げ席に着いた。その女性は間もなく、三つの資料を持参した。返却は受付へお持ちくださいと云われ礼を伝えた。
アイリーと手分けして、一時間ほど読み込んだ。
この室内には、俺たちしかいない。
わかったことを互いに話しあった。
この街の近隣だと南に三つ。
南西が、塔型ダンジョン、南東に、草原ダンジョン、東南東に、湿地ダンジョンだ。
塔型ダンジョンは20階層、一階層から上に攻略していく。上階ほど攻略難度が上がる。魔獣の種類は、常に階層ごと一定。10名以上推奨。一階層はレベル30以上、十階層より上階は、レベル50以上推奨となっていた。
草原ダンジョンは、その名の通り、草原タイプのダンジョン。魔獣は四足歩行タイプが多い。地下一階から地下五階まであり、下っていくタイプのダンジョン、どの階層もレベル35推奨。6名以上推奨。
湿地ダンジョンは、草原ダンジョンと同じく、地下一階から地下三階まで。魔獣は湿地系統。つまり、スライム種やフロッグ系、リザード系。小柄ながら多数出現とある。まあ、想像はできるが、あくまで想像だ。レベル30以上推奨。10名以上とある。
共通するのは、どのダンジョンでも、階層が変わるごとに、安全地帯という場所があり、階段から20m程度は魔獣が近寄らない。休憩は必ずそこでする。
魔獣は討伐後、肉体が消え、魔石とドロップ品を残す。魔石は80%、ドロップ品は20%程度の確率だと云う。固定というわけではない。魔石とドロップ品は、難易度が上がるほど、買取価格の価値も上がる。あとは宝箱がどの階層にもある。宝箱は階層に無関係で価値は出土品そのものの評価となる。つまりお宝は低階層でも出てくるということか。
アイリーに俺が理解した内容を伝えたところ、補足をしてくれた。
階層は攻略後、次の層の階段付近に転移魔法陣が現れ、入口と魔法陣の間でも行き来が可能になる。次回、攻略予定の階層から始められること。もちろん、攻略済みであれば途中階層でも移動可能だという。エレベーターみたいなものと考えればいいようだ。なるほど。
アイリーの説明はわかりやすい。
難易度的には、湿地>塔1~5階>草原>塔6階以上、だとアイリーがレベル計算をしてくれた。ただ、人数が二人というのはどうかな、と
俺たちは単体攻撃には火炎Ⅲ、範囲攻撃とか複数の場合は、ランスやバレットを使っている。こちらのスキルはスキルレベルⅡだ。まだノビシロがある。
湿地と塔型の一階であれば、レベル30推奨なので、俺たちの36レベルなら、なんとかなるのでは、と思っているのだが。果たしてどうなのだろう。甘い考えは死につながるので迂闊なことは出来ない。
ただ、今日の募集掲示板を見る限り、連携の取れないレベル30を四人~六人同行させる方が、怖いと云うのが正直なところだ。結局この日は、情報収集だけ行って、夜、ファリナと相談しようということになった。
◇
その夜
「ファリナ、ダンジョンに行こうと思うのだが」
「ようやくですね、いつですか?」
「いや、まだ、日程も場所も決めていない」
「それで私に相談すると。英断よ、ベルン」
「何処から目線なんだよ」
「ふふ、押し倒したくなったでしょう?」
「なあ、アイリー、
「スライムでも揉めば?」
俺はアイリーのスライムを揉みながら相談を続けた。
「よし、明日はスライム。湿地ダンジョンにいこう」
「おー」
「ちょっと、なんで右手が二本もあるのよ」
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