第6話 サラの調べ物

 リン達がケモミミ少年と追いかけっこをしている間、サラはシーマの部屋を調べていた。

 サラの後ろには眠るエミリオが魔法で浮かんでいる。

「さてと……兄さまが使った呪文はこれかしら?」

 人を異世界から呼び寄せる魔法はとても難しく、近年では成功したという話を聞かない。しかも勇者に限定するなんて、かなり難しいはずだ。兄の力を疑っているわけではないが、抜けている兄の事だ。何かミスをしているのではないかと心配になった。

「だいたい赤ちゃんが勇者っておかしいでしょう……ん?これは?」

 サラが見つけたのは、シーマが呼び出すときに使った呪文の一部だ。

「魔王に匹敵する力を持つ者を呼び出す……なるほど、勇者というワードの言い換えたのね。勇者って単語は難しいから……。――ん?」

 サラの頭に嫌な予感が走った。

 抜けている兄の事だ詠唱を間違えて『魔王の力を持つ者』なんて言ったりしていないだろうか。

「えーっと、まさかね、まさか……」

 止まらない胸騒ぎを感じつつ、起きてしまったエミリオをあやすため、サラはシーマの部屋を後にした。

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