第十七話 訪問者。

 人として生きるという点において、自身の存在はなんなのか。という疑問は様々な経験や推論を求めて生きていると必ず一度は浮かぶものであるとあたしは考えている。

 齢十六のあたしですら、両親を失った悲劇のためにこの疑問にぶちあたった。残されたのには理由がある、そうやって無理くり生きる理由というのを見つけようと躍起になった時期もあったけれども、結局あたしはその答えを見つけられないまま時間を無為に過ごし、だけに終わらず、大好きだった両親が死んでしまったという記憶に蓋をしてのうのうと今まで生きてきた。親不孝者だ。

 自分とは一体何なのか。なんていう問題は私だけが授かった試験じゃない。過去を紐解けば、あらゆる教本に名が使われている様々な学者諸賢も各々この問題を通じて私見を述べてきた歴史がある。幸福のため、生きるということのため、存在論の証明のため。理由は様々だけれど、往々にしてそうした学者諸賢がこの難題の処理の手始めにまず自分の存在を議題に上げてきたことだろう。

 自分とは一体何なのか。それまで培ってきた、自分の意思と自分の知識で、自分自身を全力で疑りかかった。少し幻想味のある展開である。



 さて、そうした歴史を鑑みても、果たして、どんな哲人であっても今日のあたしほどの動揺を受けた者はいないはずだ。いくら自身の存在が疑わしく思ったって、極端に疑ったことはきっと一度としてありはしないだろう。彼らはいつだって、朝起きて鏡を観りゃそこには最低限自分自身の顔はあったはずなんだから。その姿を見て、自身の存在はあり得ないと一瞬でも思うことはあり得ない。

 自分の思考内で自分を否定するまでならまだいい。けれど、物言わぬ物質に己の存在を否定されてしまった場合、この時こそ自分の存在という点において曖昧なものになっていると考えている。だって感情論や推論なんか抜きにして、ありていのままに存在を無視されているということだから。

 言うまでもなくあたしは、そんな無視されてしまった部類の人間だった。

 私とは一体何なのか。

 そんな崇高な問題を、否応是非なく私は向き合わなくちゃいけなくなっている。



 鏡に映らんという一大事は先に申し上げた通りである。

 あたしはその事実を認め、それでも何とか解決の糸口を粘ろうと水中で溺れるときのごとくに手当たり次第にもがいてみた。

 服の端を引っ張ると、鏡内の風景でも服が張ったような風情になる。しかしあたしの肉の一部を引っ張っても、情景の変化の兆しはない。むろん映っちゃないのだから変化するはずもないのだけれど、まずもって映っていないというのが大問題である。

 どういうことだ? あたしは吸血鬼にでもなってしまったのか?



 心当たりがないわけではない。

 あたしを襲った吸血鬼が、例えばあたしのことを眷属として迎え入れようと画策していたなら、あの襲撃時にあたしの身体の中に血を混ぜ込んだ可能性は大いにある。気を失ってしまったのだから、それだけの隙は必ずあった。

 だけれども、再恋寺さんが言っていたように、眷属というのは吸血鬼にとって非常に重要な存在なはずである。それこそ、血の分けた家族、兄妹姉弟、あるいは伴侶。そういった、強いきずなを持つ相手という意味を持つ。

 その行為は、人に置き換えると子作りに並ぶとまで再恋寺さんは言ってた。つまり尋常じゃないってことだろう。

 そんなモノに、わざわざあたしを選ぶのか?

 敵役のはずのあたしを?

 そんな大切な枠組みの内に?

 吸血式性行為にあたしを巻き込んだ?

 あり得ないことだけれど、しかしそうでもなければ、この現状に得心がいかない。

 あたしが吸血鬼みたいな特性を持つ由来が一切ないじゃないか。



 「どうしよ……まじで」

 惑い手にぺたぺたと自分の顔を触りながらつぶやいた。

 身体に異常があるからといって保健室にかかるわけにはいかないだろう。この異変を誰かに感づかれればその後どうなるか分かったもんじゃない。

 「くっそッ……」

 するべきことも定まらない中、ちょうど、トイレの出入り口の外から、女生徒のいくつかの談笑の声が近づいてきた。瞬間あたしは鏡から飛びのき、個室の中に隠れこんだ。案の定、遅れて複数の足音がそぞろと入ってくる。あたしは何の気なしに息を殺した。

 「面倒なことになったな……」

 小声を漏らしながら、ゆっくりと洋式トイレの便座に腰掛けた。陶器の冷たさが布地二枚を貫いて地肌に届く。

 考えなきゃならない。今、どうするのが最善であるか。おそらく、学校にこのまま長居するのは得策じゃない。なぜなら、この敷地内に鏡の性質をもつ物質はごまんとあるから。あたしの現状を暴くカギになりかねない。強硬策だけれども、あたしが今やるべき行動は一つ。この学校からできるだけ人の目にさらされることなく脱出するということだ。

 現状況で普通通りに生活するのはさすがに無理がある。二十余名一クラスの陣地で鏡にさらされないとは保証されない。幸いなことに体調不良のカードはまだ生きている。ここで使用せざるを得ないだろう。



 現状、当たり前だが手持ち無沙汰でトイレに入ってしまっている。日傘がない癖にお天道様の監視下を歩くとあたしには不躾がたたる。せめて帰宅のために一振り手にしたかったのだが、この入手が難しくなった。教室には生徒がうぞうぞあるし、SNSでラニにお使いを頼むこともできない。ケータイの充電がままないのである。のっぴきならない。万事休すだ。

 最悪イチかバチかをかけての行動をとらなきゃならんなと考えていたが、ふと光芒を思い出した。

 今朝の大葉さんとの話によれば夕方から雨というじゃないか。ともすれば空は灰淡一色になってはいないか。

 曇りになりゃ紫外線は減るのかというとさすがに全く消えるわけじゃないが、夏日のあの針を滅多矢鱈に刺すがごとくの日光と比べると幾分かマシである。皮膚も多少痛むだろうがこのまま学校にとどまってばれるくらいならそうしたほうがマシだった。多少皮膚が痛むのと、鏡に映らないという怪奇現象で場が騒然とするのと、天秤に掛けりゃそりゃ前者が軽い。

 ラニには体調不良を先に言ってある。最悪あたしが帰ってこないと知ればそのことを先生の方に提言してくれるに違いない。

 意向は固まったのであとはトイレ内に滞留する女学生が退出してくれるのを待つだけである。しかしこれがすこぶる長い。

 ただ黙って用も足さず座りっぱなし、個室の壁をじっと見つめて時間を潰す、という虚無を行ってみると、ことさらに自身が孤独の内に立たされているというのが浮き彫りになっている気がした。



 家に着くなり怪訝な面持ちをする大葉さんには体調不良を宣告し、元気に自室にこもると胸ポケットで眠りこけてやがるケータイのケツに充電器をぶっ刺して給餌をしてやった。

 やるべきことは山ほどある。

 まず再恋寺さんに連絡を取ろうと思った。さすがにこのことを相談できる相手というのは彼女しかいない。わずかなバッテリーしか補給できてないケータイに鞭うって発信させる。

 しかし何度も電話をつなごうと試みても一向につながらなかった。決まって帰ってくる返事は

 『ただいま、電話に出ることができません。ピーっと鳴ったら……』

 という機械音声である。五、六度はかけたけれどさっぱり出る気配がないから愈々あたしは辟易してしまい、一方で若干の諦観も心に這いだしたために電話を手放して、ついでに自ずも床に倒れ込んだ。

 「……でない」

 彼女も彼女で忙しいのだろうか。三コール内には出るという鉄のおきてを掲げてくれた彼女だが、なるほどその逆に、三コール内に出ない場合は必ず応答しないという規律を設けているかもしれない。

 正直一番頼りにしていたために、この不通には度を失いかけた。白髪をかきむしってみっともないうなりを上げる。

 不安である。どうすりゃいいんだろう。再恋寺さんがかまってくれないとすると、打ち明けるところもなくこの異常を胸に秘めていなきゃならないのか。塩を浴びた金属が腐食を食うように心の端から不安というよどみが侵食してくるようだった。



 あたしは、明かりのついてない自室から外を眺めた。

 薄い壁ひとつ隔てた先の景色は、随分と分厚い雲の絨毯が青みを平らげてしまっている。この様子なら時を待たずして大降りがやってくるだろう。

 その為か空気もずんずん湿気ていく。すると肌がべたつきを覚え始める。このべたつきというのが嫌に不快感をあおるものであるとこの時感じた。

 そしてあたしはようやく、自分が幾日も満足に風呂を喫してないことを思い出した。

 「そういや何日分入ってないんだっけ」

 自分の二の腕に鼻をくっつけて数度嗅ぐけれども自分の体臭に気づけるはずもない。しかし冷水をかぶって現状を冷静に思案するのは悪くないことだ。特に心を平常に戻すのは最も重要な点である。



 衣を脱いで真っ裸になり、てっぺんから水をかぶって文字通り頭を冷やした。髪を毛先まで丁寧に梳いて洗い、身体にへばりついた角質を丹念にこそぎ落とす。ボディーソープで自身の身体の輪郭を、中心から爪の先まで執拗に塗りこんで泡化粧を纏った。身体を隈なく調べるようにして洗っていた矢先、そういや、とふと思い出したことがある。

 数日間、気を失っていた間は再恋寺さんがあたしの身体の介抱していてくれたらしいけれども、間の悪いことに『あの』日がまるっきり被ってしまっていた。よもやそちらの面倒も見ていただいたとなると次に顔を合わせる時分はちょっと気まずかろう。

 全身に泡を塗ったくった後、風呂場の鏡の前に仁王立ちになってみる。

 やはりどうにも、何も映っちゃいない。辛うじて映るのはあたしの身体の曲線通りに塗り広げられたボディーソープの軌跡だけ。……どうやら、体表に被さった状態のものというのは、あたしの姿が映らない関係上、まるで空に浮く体を見せるようだ。例えば、あたしが口の中に歯磨き粉をぶちまけたとして、いくらあたしが鏡に映らないからと言っても飛散した歯磨き粉が空を飛んでいる姿はさすがにあり得なかった。あたしの体内に及んだ物質はその限りではないらしい。不思議なものである。



 あたしはちょっとばかしそうした非日常を愉しんでみたけれど、途端に飽き始め、それと同時に心の空虚を得た。頬をつねろうが横腹を広げようが凹凸をこねろうが鏡に一切の変化がない。今までは赤裸で鏡面を前にして飛び跳ねれば、反射している光景内で肉肉しい塊が上下左右楽し気に揺れて可笑しい風情があったのだが、今やってみると床がきしむ音が風呂場に響くだけで心に響くあの情景はなく伽藍の堂である。

 それまで誇りと何度も言っていた白皙極まった地肌ももはやどこにもない。あれがみれるからこその肌のケアだったし、お母さんとのつながりを感じ取れていたというのにこんな虚ろを食って心が空かないはずがない。



 これまでは鏡を見ればお母さんとのつながりだったりそれによる自己肯定だったり何だったりを受けたりしたのだけれども、しかし一切自身の鏡像が存在しないという一大事がこのままずっとそのままであったなら、いつか私は自分自身の顔を、身体を、愚か自分自身すら忘れてしまう日が来るんじゃないかというそら恐ろしい妄想が浮かんできた。

 なんたって自分で自分を視認できやしないのだから。肉体のそれ自身は触れられても顔を確認できないのでは自分が自分であるという確証は得られない。他人が人を認めるとき、判別の材料は体つきや骨格、身なりやしぐさではなくまずもって顔の形である。顔の形をみて個体の違いを見るのである。鼻の形や目の様、口元の造をみて誰々であると判断する。その他で判別するのは、身体によほどの特徴があるか、印象を持つものがない限りは悉く難しい。

 動物の不完全なところとして、己を己であると認識するすべがあまりにも少ない点があげられる。鏡に映った自分をみて憤慨し威嚇を行う動物があまりにもおおい。あれは自分自身の身体を敵とみて吠えるのである。つまり自分の顔を知らないから、鏡面に映る自分をみて警戒態勢をとるなどといった珍奇な行動に出るわけだ。

 だけれどもその愚かさとは人も同じである。とりわけその他動物より脳みそを大きく持ち合わせ、膂力よりまず知識を衒うあたしたちだけれども例にもれず自分が自分であるという確証を得る術は少ない。よしんば哲学者のような高次元な自認表現ができたとしても魂だの肉体だのと少々説法じみた話になる。鏡の性質を知っているから運よく自分の顔の形を知っているだけで、もし二十年生きて初めて全身鏡を見た者がいたなら多分その映った姿を見てまず会釈でもするだろう。視野に入った個体を己自身とはきっと考えない。適当に話せと命ずれば自分相手に世間話でもし始めるかもしれない。このように人間だって鏡を見て初めて自身の顔の形を知り、ほかの人間との違いを知り、個としての自覚を持つのにあたしに至ってはその顔の形すら判然しない。

 するともしかするとこの意識は確かに出里若菜のものだが実は身体や顔は違う人物のものかもしれないという可能性も浮上する。するとこの『あたし』が確実的なものではなくなってしまうわけだ。

 友達の反応を見るに恐らく肉体は出里若菜のものであると辛うじてわかる。しかし他者の認識なくしては己の確証を得られないという現状はあまりにも心許ない話だった。



 むざむざ思考を重ねたのちにそれにすら飽いてしまったからさっさとシャワーで泡を洗い流し、簡単に身体の水気を飛ばしてからさっさと脱衣所に入った。

 気持ちはよかったが肝心の心はさっぱりともしない。換気扇を回さない場合の風呂場のように湯気が内々に這っているかのようにもやもやとする。少しは平常を取り戻しはしたが、この先どうすればよいかはまるで分らなかった。このまま吸血鬼なのかどうなのかわからないまま生きて行くしかないんだろうか。



 とめどなくあふれる思考に苛みながら注意深く水分をぬぐっていると

 「若菜~? あんた体調は大丈夫?」

 と、大葉さんの声がした。彼女には体調不良によって早退したことはすでに報告済みである。

 「ああ、なんとか無事。今ちょうど風呂からあがったところだよ」

 と返した。すると次に大葉さんは

 「友達が見舞いに来てるよ。大丈夫そうなら顔見てやんな」

 と呼びかけてくる。

 「友達?」

 そう聞いて脳内に現れるはいつものツインテ野郎の顔だった。顔を見ずとも誰々とわかる特徴を持つ稀有な娘だ。

 恐らくはあいつが気を利かして見舞いに来てくれたのだろう。

 待たせちゃ悪い、親しき中にも礼儀ありだとあたしは適当なショーツを履き素肌の上から半そでの部屋着を着て髪の毛をドライヤーで乾かし始めた。

 客人を前にラフが過ぎるかもしれないが無駄に待たされて気まずい思いをさせるよりかはましだろう。なんつっても相手がラニならこちらも形式ぶった格好はせずともよい。何度か風呂を共に喫した仲だ。世間体に言えば裸の付き合いの女である。



 髪の毛を乾かしたのちに最終確認で部屋着一丁パンイチという奇跡的な風格を鏡で見直す。これまたうまい具合に服飾が空に浮いている。浮いてはいるが薄手の生地に対して凹凸の存在感はあり、肌着が何とか元の肉体感を表現してくれている。

 思うに、この鏡に映らないという現象はきれいさっぱりあたしの肉体だけが映らないわけなのだが、つまりそれというのはあたしの肉体的なものを完璧に切り抜かれた状態であるということである。

 いうなればそれは、あたしの身体は確かに映っちゃいないけれども、しかし逆に肉体のみ映ってないという点を見るとそれはあたしのまるまる裸が鏡に浮き彫りになっているということに相違ないんじゃあないかとこの時思った。

 服飾を何かしら身につけても鏡には必ずあたしの裸体が切り取られているのだ。これは始終全裸の状態が鏡に映っているといっても過言じゃないのかもしれない。

 なるほどこれはとんだエロスだ。我らが日本国にはいわんや多彩な愛慰表現が存在するがこうした発見を挟んで新しい知覚が生まれると考えるとなんだか神秘すら感じ始めてしまう。



 風呂場から出るとリビングから談笑する音がする。客人はすっかりもてなされているようだった。

 「ごめんラニ。ちょっと待った?」

 と顔を出すや、昼間手鏡を見て視線が空回ったときよろしくあたしの視線はもう一度空中を空回った。なぜならその空間にあたしの想像していた親友の姿がなかったからである。

 その代わりにリビングのソファには小動物宛らと言った体裁で見かけない姿の生き物がちょこんと座っている。それを視認すると同時くらいに大葉さんのため息がどこからか発生した。

 「あれ?」

 なんどか瞬いてその来客とやらを確認する。ご客人はあたしの姿を一目見るとあんぐりと口を開けてそのままついと視線をそらした。

 「……若菜。その恰好は何?」

 横から、とげを含んだ大葉さんの声がする。

 「えっいやだって友達って。ラニ、え? ちょっと待って」

 まずラニは目を悪くしていない。間違っても伊達で眼鏡をする趣味はなかった。加えて客人の髪型はツインテールではなく短髪だった。ラニは髪を下ろしても元の髪型の特性上必ずロングである。見た目もおかしなもんで、女子制服でなく着用しているのは男子制服、勿論ラニの奴に男装の趣味はない。

 つまり客人はラニではない。

 頼りげのない眼、芋ったい髪、おどおどしさを隠しきれてないその見姿。

 見まごう事なき入海君だった。



 「あ、あの、出里さん」

 耳が真っ赤な小男子があたしの名を呼んだ。呼びはすれど全然目を合わせてくれない。

 「着替えて来な。早く」

 大葉さんの厳しめの叱責を受けてあたしは兎のようにリビングから飛び出した。

 「……へぇ」

 なるほどそう来るか。予想外だ。ダークホース。十六番人気。予想だにしない訪問者。

 よもやラニじゃないなんて。誰が入海君の来宅を予感できるんだね。あたしはてっきり親友の登場だと思ってまるで貞淑性のない恰好で迎えちゃったわけだが。



 「……ラニじゃないなら最初にいえよぉ……」 

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