兆し
クレンは、クノハの顏をまじまじとみつめる。
「どうしたのですか?クレン様」
「い、いや……別になんでも」
その後、しばらくたって生善もかえってきて食事の時間になった。今日はなぜかクノハが一緒におり、クノハはたべないが少しだけクノハの分も用意した。あとでクレンがそれも食べる事にして。
「ずいぶん仲良くなったな」
「いやあ、まあ助けられたからね」
「……」
クノハは何もいわなかったが、明確に顏を赤らめ照れている表情をみせたのだった。
「そうだ……」
とクレンは先ほどの事を思い出す。先ほどクレンだけが“瞑想次元”らしきものを使い、よみとることのできたことを。
「あの父さんが今朝いってた奇妙な壺、みてきたよ」
生善は、少し目を丸くして、箸をにぎったまま食事のてをとめた。
「……ん?ああ、そうか……でもなぜ突然みるきになったんだ?」
「いや……昔から残留思念だったりを感じ取るのは僕の方が得意じゃないか、出所がわからないってきいて、最近の事もあって気になって触れてみたんだよ、まずかった?」
「いや、それほど強烈な邪気は感じなかったから、別に大丈夫だが」
「それで……あれは何か、確かに少し悪い気はあるけど、あれ自体が悪さをすることはないみたいだ、怒りや憎しみといった負の感情を感じたけれど、でもそれは、何か特定のものに向けられたものではなかった、むしろやり場のないものを抑え込んでいるような……」
「そんなところまで“感じる”事ができたのか、ずいぶんブランクがあるが、やはりお前は天才だな」
「ん……コホン」
クレンは恥ずかしまぎれに、咳をした。クレンが“瞑想次元”に入れたかもしれないことも、何か話づらいし、そもそも本当に瞑想次元かどうかもわからない。ただクレンは気になったものをみたので、それについて生善に伝えておこうとおもったのだ。
「あれは……どうやら盗品っぽいんだ、多分だけど」
「盗品?なぜわかる?ぼんやりとしたものじゃなくて、壺自体の記憶をよみとったのか?」
「い、いや……犯人らしき人とほかの人のやり取りがどうも、それっぽくて」
「なぜ、盗品をこの寺に」
「多分、いわくつきのものを盗んで……何かに利用しようとしたんじゃないかな」
「何かって何に……あっ」
「うん、もしかしたらだけど、最近起きていることと、あの壺は何かしらの関係があるかもしれないんだ」
かもしれない。といったのはクレンは瞑想次元でその可能性を感じさせる映像をみたからだった。
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