第45話
仕事はお墓の掃除、引越し荷物の運び出し、草むしり、足場材運び、なんでもあるが全部外仕事だ。
父の出した条件は時給700円、お昼ご飯付き、たまに休憩あり、休憩時間も給料は発生する、早く終わっても8時間分の給料は払うということだった。
一日で5600円になる、このお金と今の手持ちを合わせて余裕をもって藤のお見舞いに行けるだろう。
こういう時に体格に恵まれていてよかったと心の底から思う。
華奢な女の子だったら今あげている足場材を持ち上げることは不可能だろう。
「もう少し上~いけるかぁ~?」
「頑張るぅ~~~」
当時の私の精一杯で父の仕事の生産性はどのくらい上げられたのだろうか、父は父なりに気を使ってくれていたのだろうか。
「よく上げられんなぁ、普通の女の子だったら絶対無理だぞ。」
「まぁ、力だけはね。」
「うちは皆力強いからなぁ。」
「そゆこと。」
「…あのなぁ、俺はりりこを対等に見るべきか、子供としてみるべきか、どっちがいい?」
(この感じか。)
雰囲気では感じていた、小学1年生の時に私は父に「お前の人生だから好きにしろ、俺は関係ない。」と言われている。
多分この流れ何だろうと思う、きっとこの瞬間父は私を対等な人だと見てくれようとしているんだろうか。
「まぁ、対等に見てくれるのは嬉しいことだよね、まだ子供なわけだけど。」
「あぁ、どっちかだ、今答えられないなら俺はりりこを子供としてみる。」
「対等に見るってことはきついことも言われるんだよね?子供としてみても結局言われるんだろうなって考えちゃうけど?」
「間違いないかもなぁ。」
「対等に見てもらえたら嬉しいかなぁ。」
(子供だし、対等に見てくれって言わなかったら失望するだろうし、そう思うってわかってて言わせてるの質が悪いよ。)
「わかった。」
そんなきっかけで私は父と対等とよべるかわからない立場に立った、人生で初めてくらい父親と真面目に会話をしたかもしれない日だった。
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