第15話
小学校の入学式の日
「お前の人生はお前のものだから俺は関係ない。1人の人間だ。」
6歳の私には何を言ってるのか全く分からなかった。父が何を言わんとしているのかも全く理解できずに適当に返事をしたことだけ覚えてる。
小学校での生活は最初は普通だった気がする。
家に帰ると曾祖母が居て、祖母がいつも通りそこら辺に転がっている。祖母が寝ているとすごく寂しかったけど安心した。
小学校から帰ってきて、祖母が寝ていると近くで寝ようと試みたこともあったけど、祖母は私に気づくと睡眠の邪魔だと叩くのだ、大好きな祖母に叩かれるのは子供心につらかった気がする。
「お腹すいた」
「私はお前の親じゃない、親じゃないからご飯を作る義務も義理もない。次起こしたらぶん殴るぞ。」
祖母の決め台詞は「ぶん殴るぞ。」だった気がする。
ぶん殴るといった瞬間には私は部屋の隅に飛ばされていた気がするけど。
最初はかまってもらおうと色々試していたけど、何をしても結果的に殴られるので、あきらめた。寝ているだけでストレスが溜まるのかわからないが、ストレスを発散するように殴られていた。
それでも祖母が大好きで、たまにパチンコでお菓子をもらってきてはお土産と言ってくれる祖母はとっても優しかったのだ。その瞬間はとても満たされていた。
痛い思いをして何も出ない祖母に言うより曾祖母に行った方が効率が良いことに気づいたのはいつだったのか。小学校から帰ってきて、曾祖母にお腹がすいたと言えば1000円も貰ってコンビニに行くことができる、小学生にとって千円札は大金だ。一瞬で大金持ちになった気分になった。
曾祖母はついでに自分のご飯とポテトチップスを頼むのだ、張り切って買い物に行く。
幼稚園の頃からずっとコンビニ通いだ。
「これください。」
「りりこちゃんこんばんは、今日はもう学校終わったの?」
「もう終わったよ、お腹すいたからご飯買いに来たの、あとおばあちゃんのポテトチップスもたのまれたの。」
コンビニに毎日行っていれば店員さんは私のことを覚えてくれていて、行くたびに話しかけてくれていたのを覚えている。
22歳の今でも長く勤めている店員さんだと声をかけてくれるんだからすごいことだと思う。
曾祖母が年金をもらっていたおかげで食事には困らない程度には生活は成り立っていた。
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