第10話

当時の父から聞いた話で母の妹は母と比べられて育ったらしい。

母は社交的で明るく、自身に満ち溢れていて 友達に囲まれて、両親からも溺愛されていて言えないことがないような人間だったそうだ。

母の妹は内向的で、消極的 自分に自信がなかったらしい。父はどちらもそれぞれの魅力があった、素敵だと言っていた覚えがある。娘は少し気持ち悪い思いで聞いていたのを覚えている。


そんな母が父を実家に連れて帰ってきて、結婚すると、父と話したときに失恋をしたんだそうだ。

母の妹は父に好感を持ったらしかった。

(また姉に取られる。)

と思ったのだろうか、わからないが。


そんな時に父が母から新しい女性と遊んで来いと言われていると相談を受けて、

(いつも優位に立っている姉のものが手に入る。)

という気持ちだったのだろうか、私が想像できる気持ちはこのくらいしかない。

「私とあそべばいい。」

その一言から父と母の妹とのディープな関係は始まったそうだ。

関係を重ねていくと母の妹は母に初めて勝ったんだと思ったらしかった。

妊娠中の母に伝えたのだ。

「父と関係を持っている。」

その後は簡単だったらしい、父は母に

「私と妹どっちをとるのか、私には子供がいる。あなたは父親だ。」

ということを言われて平手打ちされたらしい。

父は母の妹ではなく母のもとにあっさりと戻ったのだ。

母の妹の劣等感、心に陰りが再び刺したんだろうか。気持ちは容易く想像できない。

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