神の奇跡だー!
ミーちゃんは『
ゆっくりと、テッシンの歴史を踏みしめるように。
時間をかけて儀式スペースまでたどり着き、台座に『
「神よ! 我らが世界の神よ! 我々に力を与えてくださったこと、真に感謝申し上げます!」
ミーちゃんが精一杯声を張り上げて叫ぶ。
「我らテッシンのドワーフは、このお力、神に返納致したく存じます! どうか、お受け取りくださいませ!!」
「「「「どうか、お受け取りくださいませ!!」」」」
五大老のみんなが天に向かって叫ぶ。
さぁ私の出番だ――
――と、あれ?
私はまるでフルスイングを空振りしたかのような感覚を覚える。
……んん? 嘘、このタイミングで空間魔法不発!? どうして!
と、そう思った次の瞬間。空の一部がくるりと丸く切り取られた気配がした。
同時に、私の体がビシッと固まる。う、動けねぇ!?
『おおドワーフの子らよ。そなたらにはこの力はもう必要ないと申すか?』
そして鈴を転がしたような可愛らしい声が、大気を震わせ、空から降り注ぐように響いてきた。
あら私、この声に聞き覚えありますわよ?
「……!? は、はい! かつての我々には必要でしたが、もはや過ぎた力。お返しいたします!!」
ミーちゃんは突然の事態に対応してセリフを少しアドリブで変えてくれた。
私に「もう、急に変えないでよ」と目くばせしてくるけど私じゃない。
神様? 何で邪魔するんですか? ねぇ。
『ドワーフの子らよ。私は少し寂しくも、大変うれしく思う』
そう言うと、白い雲がぐわんと少女の手の形になって降りてきた。
形こそ少女の手だが、それは巨大な神様の腕。
手は『
『確かに返してもらった。ドワーフの子らよ、これからも健やかにあれ』
上機嫌な神様の声。直後にパァン! と何かが弾ける音。
光の玉がドワーフの里に降り注ぎ、空には天使の輪のような丸い虹が広がった。
いや虹だとしたら太陽無視しすぎてるからなんか別のヤツなんだろうけど……
と、私は動けるようになった。
「はっ、動けるようになった……!」
「……あるじ様? どうかされましたか? って、大丈夫ですか? 凄い汗ですよ」
大丈夫かどうかで言われると、魔力消費の多い複製を大量に使いまくった後のように疲れている。
「……今の、私じゃなかったんだよ」
「え、ということは?」
「神様だね。多分私の体使って色々してきた……」
……
ちょっとまって、これ神様に横取りされてない?
1000SP分だよ!?
壇上のミーちゃんたちは「神の奇跡だー! おおおーー!!」とテンションを上げるように声を張り上げ、民衆は酒杯を掲げて乾杯している。
そして私は教会へと走った。文句を言いたげなミーちゃん達の視線を背に受けつつ。
もしこれ横取り判定だとしたら、神様相手だろうとガツンといったるけんねぇ!!
――――――――――――
(カクヨムコンに新作出そうと思ってるので、その分更新スピード落ちるやも)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます