ここがあの神器のハウスね


 美術館行きの乗合馬車があったので乗っていく。

 御者のドワーフが酒を飲んでいたが、異世界で飲酒運転はどうなんだろうか……引いてる馬達は酒を飲んでないから大丈夫なのかな?

 地球のみんなは絶対真似しないでね、一発免停だよ!!


 さて、そんなこんなで美術館へとやってきました。

 あー、若干フラフラするぅ。ほろ酔いだわコレ。うんうんほろ酔いほろ酔い。


「あるじ様、着きましたよ」

「おーう。ここがあの神器じんきのハウスね……」


 白い柱に白い壁の、パルテノン神殿のような佇まい。開いている扉に付いている取っ手などはドワーフサイズの位置だが、建物自体は人間でも大きく感じられる立派な建物だった。


「お姉さんもお水飲んだほうが良いのでは?」

「えっ、口移し!? そんないやんっ! でもディア君がしたいならいいよ!」

「ふぇ!? や、やっぱりなしでっ」

「私からしましょうか」

「アイシアでもいいよっ! カモーン!」

『自分はどっすか!?』

「いやドラゴンとはねーわ。あはははっ」


 あー愉快愉快。なんでこんなに愉快なんだろ? わからんけど愉快。



 美術館に一歩足を踏み入れると、なにやらドワーフが沢山集まっていた。髭もじゃとロリがわんさわんさといる。何々、何かあったのー?


「あっ! カリちゃん!! 来てくれたのね!?」

「あれっ。あー、ミーちゃんじゃないの。なんでここにいるのぉ?」


 そこにいたのは私の現地妻がひとり、髪飾りのミーちゃんだった。髪飾りをプレゼントしてくれた心優しいドワーフちゃんだ。

 人混みをかき分けるようにして抱き着いてきたミーちゃん。


「ここはウチが作った美術館なの。むしろカリちゃんがウチに来た感じぃ?」

「へー、そうなんだぁ。えらいねぇ、よしよしっ」


 私がミーちゃんの頭を撫でると、周りがざわついた気がした。


「お、おいアンタ……不敬……」

「あん? ヒゲはだぁまっとれ! すっこめっ!」

「そうよジュノー。黙りなさい。私とカリちゃんの間に割り込む権限は貴方にはないわ」

「し、しかしですな!?」

「カリちゃんの着けてるこの髪飾りが見えないのかしら?」

「そ、それはバーミリオン様のっ!? うぐ、な、なんちゅーこっちゃあ……!」


 あらっ! ミーちゃんキリッとカッコいいね!

 相手のヒゲ野郎はたじたじよ! あーんもう大好きー!


「うふふ、上機嫌だねぇカリちゃん。私と会えてそんな嬉しーい?」

「ん? うれしーよぅ。あ、そだ。ところで何かあったの?」

「! そうそう、それなのよっ! ウチの美術館に大変なピンチなのよぅ!」


 おう。何々。なんか知らんけど奥様が大変な様子。


「ふふふ、自慢じゃないけど私はそれなりにスゴいんだよ? 何でも言って、力になるから!」

「さすがカリちゃん! 頼もしくて惚れなおしちゃうっ!……それに引き換えここの男共ときたら……」


 やれやれ、とこちらを注視する人だかりに目を向け、肩をすくめるミーちゃん。


「実はね、ここにあるドワーフの大事な宝物が狙われてるの。怪盗ヘルメスから予告状が届いたのよぅ」

「へー、怪盗? 美術館に怪盗……定番だね!」

「そう! だから、カリちゃんにはお宝を守ってほしいの! ダメ、かな?」


 上目遣いできゅるんと私を見上げるミーちゃん。ぐふぅ、ロリっ子のおねだり可愛い。

 しかもこれ私の現地妻なんだぜ? 断れるわけねーじゃん!


「任せて! 私がそのお宝を守り抜いてみせるよ!」

「本当! やったぁこれで百人力よぅ! 愛してるわ、カリちゃん!」


 ミーちゃんを抱きとめて屈んでいた私の頬に、背伸びしてちゅっとキスするミーちゃん。きゃわー、任せろりー!


「じゃあ早速だけど、『波城壁槌ヘパイストス』の警備について相談させてっ」

「……おっとぉ?」


 あ。酔いが覚めたわ。




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(以下お知らせ)

公式X(旧ツイッター)アカウントの方、ハルミカヅチお姉様の情報が追加されてました。

ここまで読んだ皆は知っているだろうけど、カリーナちゃんの服を脱がせた初めての女ッ! 恐るべし女狐というやつですね。素敵!


公式アカウントへのリンクは近況ノートから!

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